公益財団法人の「交通エコロジー・モビリティ財団」によって認証されるグリーン経営認証は、トラック、バス、タクシー、旅客船、海運、倉庫業が対象となっている制度で、中小企業でも比較的簡単に取得できる認証です。
どのような取り組みを行う必要があるのかというと
- 環境保全のための仕組みや制度、体制が整えられているか
- エコドライブを実施しているか
- 低公害車を導入しているか
- 車両の適切な整備、点検はしているか
- 廃車や廃棄物の抑制や処理についてリサイクルを推進しているか
- 管理部門で環境保全を推進しているか
の具体的な活動が求められます。
グリーン経営認証の目的としては「環境負荷の少ないグリーン経営」を目指したものになり、結果として運送会社では主に燃費の改善や事故削減、荷主からの信頼を得られる等、グリーン経営認証を取得することでいくつかのメリットがあります。
なお、グリーン経営認証は更新制の認証になっているため、取り組みを継続していくことが必要になってきます。
グリーン経営認証を取得することのメリットは?
1.燃費の向上が期待できる
エコドライブを実施するための指導教育、実際の燃費結果を記録、集計していくため、車両や乗務員単位での燃費の良し悪しが浮き彫りになり、その結果をフィードバック、指導教育に繋げられるため燃費の向上が期待できます。
実際に取得事業者のアンケートでは燃費向上について
- トラック・・83.2%
- バス・・75.8%
- タクシー・・76.1%
の事業者が向上したという結果があります。
燃費の向上は燃料代の節約にもなり、1台ずつでは微々たるものでも数十台が燃費改善すればかなりの金額になりますので、結構な経費を抑えることができます。
燃料代は人件費に次いで大きなウエイトを占めていますので非常に大きなメリットと言えるでしょう。
2.職場モラルが向上する
荒い運転をしているドライバーは、職場での態度も非常に悪い傾向があります。
エコドライブの基本は「ゆっくり発進、ゆっくり停止」であって、「急」のつく運転をしないことが求められ、職場全体が環境に対する意識を持ち始めると、その環境自体に慣れていくため、ドライバーのメンタル面が落ち着いていくことが期待できます。
職場のモラルが向上したかのアンケートでは
- トラック・・76.0%
- バス・・74.2%
- タクシー・・78.1%
の事業者が職場のモラル向上について感じており、モラルが向上すれば事業所の運営もスムーズになるため、これも非常に大きなメリットと捉えることができるでしょう。
3.対外信用度が上がる
グリーン経営認証を取得すると、荷主やお客様から見ると「事業として内部でも努力をしている企業」、「環境を意識しているクリーンな企業」といったプラスの要素として見られることはあっても、マイナス要素として見られることはありません。
また、トラック事業者においては荷主側から取得を求められることもあります。
事業開始から3年を経過していない場合は、Gマークを取得する要件も満たせませんから、グリーン経営認証を先に取得するケースが多いです。
4.事故が減少する
エコドライブをすると、「急」のつく運転をしなくなるため、交通事故の減少に繋げることができます。
交通事故が減るということは、それだけ本来不必要な出費や無駄な労力がなくなりますよね?
これも大いにメリットがあることが分かります。
グリーン経営認証を受けるために費用はかかってくるものの、将来的に事故が現行のままであった場合の費用を比べて、どちらが有意義であるかを考えたらグリーン経営認証を受けたほうが有益なものになるでしょう。
5.車両の故障が減る
グリーン経営認証を取得するための項目には車両整備が欠かせません。
本来、日常点検を行っていると思いますが、それ以上にグリーン経営認証においては排気ガスやエアコン、燃費の動向等、かなり細かくチェックするため、何か異常があればすぐに手を打つことができます。
車両故障はある程度前兆があるため、早期に発見できればトラブルを回避できますよね。
費用面についても、故障してから修理したり、路上で故障して走行不能になってレッカーを呼んだりと、大きな痛手になってしまうので早くに車両の異常に対応しなければ損失になります。
他にも故障が原因で大事故が起きればかなり大変なことになりますよね。
そうしたリスクを減らしていくためにも継続して車両整備を細かくおこなっていくべきでしょう。
グリーン経営認証のデメリットは?
グリーン経営認証のデメリットとしては、新規取得時と更新時に費用がかかってくるという面です。
新規・更新時の費用
グリーン経営認証は2年更新となっていて、新規、更新時に費用がかかります。
審査料金
- 初回審査料・・・85,000円
現地審査事業所数+3,000円×現地審査対象外事業所数
但し、バス事業以外で事業所間が移動時間30分以内の近接地で、1日2か所以上の事業所を現地審査可能な場合は、2か所目以降は35,000円 - 交通費・・・実費(1往復当り上限額30,000円)
- 宿泊料・・・1泊12,000円
登録料金等(税別)
- 登録証発行料(新規登録時のみ)・・・5,000円×事業所数
- 更新までの間の書類審査料・・・15,000円+(3,000円×2か所目以降の事業所数)
※2年毎の更新の間の1年は書類審査を行う - 登録維持料20,000円+(4,000円×2か所目以降の事業所数)
- 指導・情報提供料等・・・30,000円+(6,000円×2か所目以降の事業所数)
※更新登録料は申請井1件当たり2,000円減額
例えば新規で取得する場合、
審査料金85,000円+登録証5,000円+書類審査料15,000円+登録維持料20,000円+指導・情報提供料30,000円=計155,000円
が最低限かかる費用で、そのほか審査員の交通費と、宿泊が発生すれば宿泊費がプラスされます。
更新では
審査料金85,000+書類審査料15,000円+登録維持料20,000円+指導・情報提供料30,000円-審査料割引2,000円-登録料金等割引2,000円=計146,000円
が最低限かかる費用です。
他の環境に関する認証であるISO14001は100万以上かかりますし、エコアクション21もグリーン経営認証と比べると割高になりますから、コスパはとても良いと思います。
グリーン経営認証制度とメリットのまとめ
交通エコロジー・モビリティ財団が認証を行っているグリーン経営認証は基本的に次の取組項目に対して評価されます。
- 会社、事業所等が環境保全のための仕組み・体制が整備しているか
- エコドライブを実施しているか
- 低公害車を導入しているか
- 車両の点検・整備を行っているか
- 廃車・廃棄物の適正な処理、リサイクルをおこなっているか
- 事務所において環境保全の推進をおこなっているか
これらに取り組むことで運営上のメリットも出てきますし、ISO等と比べてとてもコスパの良い認証です。
今後、環境に対する保全の取り組みはますます評価が高くなっていくことが予想されますので、ぜひ取得のためにチャレンジすることをお勧めします。