運送事業を営んでいくうえで、最初に事業許可を取り、運輸開始をするときには陸運局へ申請をしますよね。
しかしながら事業は生き物ですので、当然最初に届け出た内容のまま10年も20年も同じ様態ということはほぼありません。
たとえば事業をおこなっていくうえで、車両の増減車が発生する頻度は高いですが、事業計画の変更として届け出る必要があります。
そのほかにも事業を行っていくと、様々な変更事項が出てきますが、なかには重要事項として行政監査時に処分対象となるものもありますので、どんなときに手続きが必要なのかは把握しておきたいですよね。
「許可」、「認可」、「届出」の違い
ややこしいですが、手続きには「許可」や「認可」などの呼び方があり、それぞれ違った内容になってきます。
許可
もともと禁止されている行為に対して、申請をして行政がそれを許可するかどうかを判断します。
許可は申請書類や内容について不備がなかったとしても、行政の判断で不許可にすることができます。
運送業でいえば事業許可と点呼の受委託がこれにあたります。
認可
認可の場合は、許可と違って書類や要件などに不備がなければ、申請を受けた行政は認可しなくてはなりません。
運送業における事業計画の変更は、この認可と下記の届出の2種類になります。
届出
届出については行政に対して書類を出せば一方的に完結する行為です。
ただし、届出のタイミングについては事前に行うものと、事後におこなうものがありますので、そこだけは把握しておきましょう。
認可を受けなければならない事項
認可が必要な内容については以下になります。
- 営業所の新設や移転
- 車庫の場所と収容能力
- 休憩・睡眠施設の位置と収容能力
- 特別積合せの貨物運送をするかどうか
- 利用運送をおこなうかどうか
- 運送約款の変更
- 運送事業者の法人合併・分割
- 運送事業を相続するとき
- 運送事業の譲渡しや譲受け
この中でも営業所と車庫についての認可は、届け出ずに放っておくと行政監査で処分になるケースが多いです。
増車によって車庫の収容を拡大する場合などは、事前にこの認可手続きを終わらせておく必要がありますので、計画的かつ忘れずに行っておきましょう。
また、運送約款については自前の約款を使用しない限りは基本的に申請は必要ありません。
尚、事業の譲渡しや譲受け、相続等においては今までの行政処分点数などを引き継がれますので、その点は注意する必要があります。
なお、認可、届出ともにそれぞれの公示基準を満たしていなければなりません。
届出をしなければならない事項
- 増車・減車
- 会社の名称や住所の変更
- 営業所や荷扱所の名称や住所の変更
- 運賃の料金設定の届出
- 運行管理者、整備管理者の選任や解任
- 譲渡し、譲受けや合併や分割が終わったとき
- 事業を休止や廃止したとき
- 休止していた事業を再開したとき
- 事業者の氏名や名称、住所に変更があったとき
- 役員変更があったとき
- 行政からの改善命令等を是正したとき
頻繁に届け出る内容としては増減車がありますが、増車時の注意点としては車両の使用停止処分を受けている場合には、その処分期間が終了している必要があります。
事業計画に関する変更の申請をしていなかった場合の罰則は?
これらの事業計画変更に関する申請は、放っておくと事実と違う状態になり違反として処分が下されることがあります。
特に厳しいものでいえば
①営業所を区域外に設置
②車庫を営業所との距離規定に沿っていない場所に設置されている
③車庫の収容能力違反
④認可を受けていない運送約款を使用していた
これらはそれぞれ初違反で20日車、再違反の場合は40日車と厳しい罰則が与えられる可能性があります。
また、行政から事業計画に従うよう出された命令に対して違反した場合には初違反でも60日車の処分が下されることがありますので、事業計画に変更があればその都度申請をして、内容通りに運営していくことがベストでしょう。
事業計画の変更まとめ
運送業はとにかくコンプライアンスが求められ、日常業務やトラブル対応で手一杯にもかかわらず、変更があればその都度行政に申請をしなければならない等、面倒事も多いですよね。
規定通りのことをパーフェクトにこなせるような事業所はほぼあり得ませんが、その中でも優先順位が存在します。
ですので、「これはやっておかないと、さすがにまずい」という重要度の高いものを認識して、優先順位をつけながら運営していく必要が出てきます。
事業計画の変更においても、事業を継続していくと必ず重要度の高い変更項目が出てきますので、ある程度のことをあらかじめ把握しておくことでスムーズな運営をしていくことが可能だと思います。