こんにちは。
普段の車両日常点検についてですが、過去に、走行中にタイヤが外れたり、スペアタイヤが脱落する等の事故が発生しており、日常点検をちゃんと行っていればそうした惨事は防げたと思います。
法律においても、道路運送車両法によって車両の日常点検整備が義務付けられています。
道路運送車両法47条(日常点検整備)
自動車の使用者は、自動車の点検をし、御帯必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない。
47条の2 自動車の使用者は、自動車の走行距離、運行時の状態等から判断した適切な時期に、国土交通省令で定める技術上の基準により、灯火装置の点灯、制動装置の作動その他の日常的に点検すべき事項について、目視等により自動車を点検しなければならない。
② 次条第一項第一号および第二号に掲げる自動車の使用者またはこれらの自動車を運行する者は、前項の規定にかかわらず、一日一回、その運行の開始前において、同項の規定による点検をしなければならない。
③ 自動車の使用者は、前二項の規定による点検の結果、当該自動車が保安基準に適合しなくなるおそれがある状態または適合しない状態にあるときは、保安基準に適合しなくなるおそれをなくすため、または保安基準に適合させるために当該自動車について必要な整備をしなければならない。
つまり、毎日の出庫の前に日常点検を行わなければなりません。
ドライバーが点検を行ったら整備管理者に報告、運行可否を決定し、出発前点呼の際にその状況を報告するのがスムーズだと思います。
また、日常点検における項目については自動車点検基準によって定められています。
(事業用自動車、自家用貨物自動車等の日常点検基準)
点検個所 | 点検内容等 |
①ブレーキ | 1.ブレーキ・ペダルの踏みしろが適当で、ブレーキの効きが十分であること。
2.ブレーキの液量が適当であること。 3.空気圧力の上がり具合が不良でないこと。(エアブレーキ装着車のみ) 4.ブレーキペダルを踏み込んで放した場合に、ブレーキバルブからの排気音が正常であること。(エアブレーキ装着車のみ) 5.駐車ブレーキレバーの引きしろが適当であること。 |
②タイヤ | 1.タイヤの空気圧が適当であること。
2.亀裂および損傷がないこと。 3.異常な摩耗がないこと。 4.溝の深さが十分であること。 5.ディスクホイールの取り付け状態が不良でないこと(車両総重量8トン以上または乗務定員30人以上の自動車に限る) |
③バッテリ | 液量が適当であること。 |
④原動機 | 1.冷却水の量が適当であること。
2.ファンベルトの張り具合が適当である、かつ、ファンベルトに損傷がないこと。 3.エンジンオイルの量が適当であること。 4.原動機のかかり具合が不良でなく、かつ、汚れおよび損傷がないこと。 5.低速および加速の状態が適当であること。 |
⑤灯火装置および方向指示器 | 点灯または点滅具合が不良でなく、異音がないこと。 |
⑥ウインドウォッシャーおよびワイパー | 1.ウィンドウォッシャの液量が適量であり、かつ、噴射状態が不良でないこと。 |
⑦エア・タンク | エア・タンクに凝水がないこと。(エアブレーキ装着車のみ) |
⑧前回の運行において異常が認められた箇所 | 当該箇所に異常がないこと。 |
このうち②のタイヤの溝の深さ、③、④、⑥の各項目については自動車の走行距離や運行時の状態等から判断した適切な時期に行うことで足ります。
つまり、大まかに毎日行わなければならないのはブレーキの状態、タイヤの状態、マーカーランプやウインカーの確認ということになります。
こうした日常点検の法定以外にも気になる場合は、定期点検項目であるエアクリーナーの状態やグリスアップ等のメンテナンスが必要になるでしょう。
また、ほんのわずかな誰もいない時間に第3者が車庫に侵入し、車両に悪戯をしていくという事例もありましたので、異変がないかの確認もしておくと良いと思います。
尚、点検のための施設は貨物自動車運送事業輸送安全規則においても設置が義務付けられています。
貨物自動車運送事業輸送安全規則 第14条(点検等のための施設) 貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の使用の本拠ごとに、事業用自動車の点検および清掃のための施設を設けなければならない。※点検とは日常点検を指す
車両を常に健全な状態にしておくは事故を未然に防ぐために非常に重要ですので、日々の日常点検をしっかり行うことが好ましいでしょう。