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運転者に対する指導監督義務違反とは?

監査が入った際によく見かける行政処分として、「運転者に対する指導監督義務違反」というものがあります。

貨物自動車運送事業輸送安全規則

第十条(従業員に対する指導及び監督)

貨物自動車運送事業者は、国土交通大臣が告示で定めるところにより、当該貨物自動車運送事業に係る主な道路の状況その他の事業用自動車の運行に関する状況、その状況下において事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な運転の技術及び法令に基づき自動車の運転に関して遵守すべき事項について、運転者に対する適切な指導及び監督をしなければならない。この場合においては、その日時、場所及び内容並びに指導及び監督を行った者及び受けた者を記録し、かつ、その記録を営業所において三年間保存しなければならない。

意外と見落としがちですが、全ドライバーを対象に指導教育が義務付けられています。

具体的にどのようにすれば良いかは、まず指導教育の内容として貨物の場合、次の12項目が定められています。

 

  1. トラックを運転する心構え
  2. トラック運行の安全確保のため遵守する基本的事項
  3. トラック構造上の特性
  4. 貨物の正しい積載方法
  5. 過積載の危険性
  6. 危険物運搬に留意すべき事項
  7. 適切な運行経路および経路上の交通状況等
  8. 危険の予測および回避
  9. 運転者の運転適性に応じた安全運転
  10. 交通事故に関わる運転者の生理的心理的要因、これらへの対応策
  11. 健康管理の重要性
  12. 運転支援装置を備えるトラックの適切な運転方法

 

この項目を年度における安全教育計画表として書類を作成しましょう。

また、計画表を作成したらその計画に沿ってミーティング等で指導教育を行います。

ミーティング資料として上記法定項目を満たした書籍も販売されていますので、それらを活用してください。

指導教育を行いましたら、その都度議事録(日時、場所、教育者、参加ドライバー)を作成し、安全教育計画表とともに3年間保存します。

また、適性診断後に行う運転者教育も記録を作り、合わせて3年間保存します。

注意したいところは、議事録の参加ドライバー名の項目で、必ず参加したドライバー直筆のサインで記入してください。

でないと監査時に、印鑑や、パソコンでの氏名記入だと、運転日報などと突き合わせながら本当に指導教育をやったのかどうかを確認されます

そこでもし配送中の時間に指導教育を行っていることになっていたら、当然やっていないものとみなされますよね?

 

巡回指導等においても、ちゃんと教育指導を行っているのかと指摘されるケースもあります。

ですのでなるべくドライバーが直接書き込めるような資料を使用して、その写しを教育記録簿等と一緒に保管しておきましょう。

上記を踏まえ、指導教育を行った場合には必ず教育記録簿等の氏名欄等もその場でドライバー本人に記入してもらうことがベストです。

 

関連記事参照

運転適性診断の種類

MEMO

尚、旅客自動車運送事業においても、旅客自動車運送事業運輸規則38条にほぼ同じ規程があり、これも同じく違反として多く見かける項目となっています。

5 COMMENTS

竹田

はじめまして
お伺いします
トラック12項目を12回以下しかやっていない場合は
どうなりますか?
昨年度 全てをやっていないのですが
会社からは何も言われていません。

返信する
ひろ

竹田様

はじめまして、コメントありがとうございます。

12項目ですが、告示ではすべての項目の教育が義務付けられておりますが、
一年終わってみるとどうしても抜けている項目があるケースは多々あります。
実際のところは、まったく何もしていない場合には問題視されますが、
経験則ですがある程度実施していれば、最近教育関係はうるさくなっているものの
巡回指導時にはそこまで厳しく追及されることはないと思います。
例えば危険物を扱っていない会社で危険物運搬に関する教育を行っていなくても
大して言われていません。

ただ、実施した項目に抜けがあると、どうしてもモヤモヤしてしまうのと、
Gマークや陸運局表彰申請等で、12項目の教育計画表と教育記録と実際に使用した資料を提出しなければなりませんので、
翌年、公的機関や行政への申請をしなければならない場合は
教育実施時に別の足りていない項目の教育資料だけでも別途一言付け加えて渡しておくことをお勧めします。

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竹田

今更ですが
3回やっていなく
3月末までにやるようにと
渡されましたが
やらないまま 4月になりました
会社からも何も言われていません
どこかに報告したほうがいいのでしょうか?
教育と言っても 答えを一緒に渡されて
いちも 喫煙所で一人で記入だけしています
ちゃんと教育してほしいのですが
何を言っても聞いてくれないので
力のある場所から言ってもらうしかないのが 現状です

返信する
ひろ

竹田様

コメントありがとうございます。
教育については年々巡回指導が厳しくなっている印象ですので、
いずれ会社側でも強く認識する可能性はあります。
毎回違う資料を探して準備したり記録簿を作成したりの手間を考えると、
会社側の気持ちも分からなくもないんですが、形だけでも
やっておこうというところですね。

返信する
ひろ

竹田様

再度のご連絡、ありがとうございます。

「3回やっていない」「実質、喫煙所で答えを書くだけ」「会社は何も言ってこない」——
現場の声として、非常にリアルなご状況を共有いただき、心から感謝いたします。

運送事業者には法令で「運転者への12項目の指導教育」が義務付けられており、
内容の形式化や形骸化は本来あってはならないものです。

そして、教育は“紙”ではなく“中身と意識”が重要であり、
「形だけ記入させて終わり」となってしまっている実態には、私自身も問題意識を感じています。

✅ どうすればよいか?
「どこかに報告したほうがよいのか」とのご質問については、
以下の2つの視点で判断されるとよいと思います。

① 社内で改善を目指す場合(記録を残しつつ訴える)
教育実施日・内容・方法の実態をメモ・写真等で記録

運行管理者、所属長に対し「安全運行のために改善してほしい」という建設的な提案として申し入れる

もし可能であれば、同僚と連名で出すと効果が高まるケースもあります

② 外部への相談・通報を視野に入れる場合
管轄する運輸支局の監査指導部門や労働基準監督署に匿名で相談可能です

「教育義務違反」にあたる可能性があること、精神的な圧迫を感じていることを含めて伝えることができます

会社の体質や人間関係もあるかと思いますが、「声を上げること=悪」ではありません。
安全運行に関わる内容について、現場からの声は本来もっと尊重されるべきものです。

どうかご自身の立場や気持ちを大切に、無理のない形で行動されてください。
引き続き、お力になれることがあればいつでもお知らせください。

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