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貨物の年末年始の輸送等に関する安全総点検とは?

年末年始はインフルエンザが流行したり、道路上も混雑するなどで交通事故の発生も多くなりますよね。

国交省ではこうしたトラブルに対しての安全点検を促す標記運動を推進しており、年末近くなるとトラック協会などを通じて各運送会社に対して、安全点検の実施を促しています。

安全点検の項目は日常的に必要な法令義務はもちろん、より踏み込んだ内容を点検する部分もあり、是非一度、安全総点検を行って事故防止に努めることをお勧めします。

この年末年始の安全総点検は、おおむね12月前半~1月前半の1か月間行われており、実施した場合は報告書を作成してトラック協会等に提出しましょう。


重点的に点検すべき項目

 

1.健康管理体制の状況

① 定期健康診断において、要再検査や要精密検査、要治療の初見がある場合には、当該運転手に医師の診断等を受けさせ、医師の判断により必要に応じて、所見に応じた検査を受診させるとともに、これらの結果を把握し、医師から結果に基づく運転手の乗務に係る意見を聴取しているか。
② 医師からの意見等を勘案し、運転手について、乗務の継続、業務転換、乗務時間の短縮、夜間乗務の回数の削減等の就業上の措置を決定するとともに、当該運転手の健康状態を継続的に把握しているか
③ 乗務前点呼において、「事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル」に記載されている乗務中止の判断目安等に従って、運転者が安全に乗務できる健康状態かを判断し、乗務の可否を決定しているか。
④ 運転中に体調が急変し、運行に悪影響をおよぼす場合に備え、「事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル」に記載されている判断目安により判断を行い、即座に運転中止、休憩の確保、運行管理者への報告等、必要な措置を講じる必要があることを運転者に周知しているか。
⑤ 脳・心疾患や睡眠障害等の運転に支障をおよぼすおそれのある疾病等の着実かつ早期の発見のため、当該疾病に関するスクリーニング検査等を運転者に受診させているか。(「事業用自動車の健康管理マニュアル」において推奨事項としていることから、実施しているまたは検討中の場合は「○」、実施していないまたは検討していない場合は「×」を記載。)

上記に出てくる「事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル」については、今まで読んだことがない、活用したことがない場合は、どんな病気が運転に危険を及ぼすのか、点呼時の健康確認のやり方等、非常に参考になりますので、是非一読しておくことをオススメします。

なお、SAS(睡眠時無呼吸症候群)のスクリーニング検査などは、帰庫後の車両のタイヤに輪っか状のこすり痕があると、居眠りの可能性があるため、何度もタイヤを輪っか状にこすってくるドライバーがいれば、一度スクリーニング検査を実施してみると良いでしょう。

2.運転者に過労運転を行わせないための安全対策の実施状況

① 自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」告示の内容(特に長距離運転または夜間運転の際の乗務時間)を遵守しているか。
② 適切な運行指示書の作成および適切な指示をしているか。
③ 疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれがある乗務員に対しては、乗務させないなど適切な処置を講じているか。

 

3.運転者に飲酒運転や薬物運転等を行わせないための安全対策の実施状況

① 飲酒運転を未然に防ぐため、アルコール検知器の使用を徹底し、厳正な点呼を実施しているか。
② 運転者等にたいして、飲酒運転防止に対する指導・啓発活動を実施しているか。
③ 飲酒を習慣にしている人を把握し、翌日に業務がある場合の飲酒等について指導しているか。
④ 覚せい剤や危険ドラッグ等の薬物使用防止に対する指導・啓発活動を実施しているか。

上記は日常的に求められており、アルコール検知器に引っかかるのは特定の人に限られてくるパターンが多く、事業者側もよくアルコール検知器に引っかかるドライバーを把握していると思いますが、年末年始は飲み会等が増える時期ですので、普段把握している特定の人以外にも注意が必要です。

また、アルコールチェックの成り代わりも絶対やめましょう。

4.車両の日常点検整備、定期点検整備等の実施状況

① 車両脱落事故や車両火災事故および車体腐食事故をはじめとした整備不良事故を防ぐため、自動車点検基準にもとづく日常点検および定期点検が実施されているか車両総重量8トン以上の自動車に限る)。特にホイール・ナットおよびボルトの緩み等について確認しているか。また、自動車の点検整備等に関する社内規程の内容について、整備管理者等への周知徹底が図られているか。
② 車輪脱落事故を防ぐため、ホイール・ナットおよびボルトの緩み等について運行前点検で確認をしているか。また、冬用タイヤへ交換を実施した後、50km~100km走行後にホイールナットの増し締めを実施しているか。(車両総重量8トン以上の自動車に限る)
③ スペアタイヤ取付装置、スペアタイヤの取付状態、ツールボックスの取付部について3ヵ月毎の定期点検を実施しているか。(車両総重量8トン以上の自動車に限る

 

冬場はスタッドレスに履き替える車両も多いため、タイヤ組み換え後も定期的にホイールナットの状態は確認しておきましょう。たまにナットが1個飛んでいく事例があったりしますので、インパクトレンチでしっかり締めておきましょう。

スペアタイヤについても、大型車のスペアタイヤが脱落すると大事故につながりかねません。少しでも緩みがあると走行の振動で取付部が弱ってくることがありますので、こちらもクランク棒でカッチリ締めておきましょう。

5.死傷事故等を防止するための安全対策の実施状況

① 夕暮時の早めの前照灯点灯および夜間のハイビームを活用しているか
② 右左折時において、周囲の交通状況をじゅうぶん確認するよう指導しているか。また、助手席の荷物や不適切な架装・改造、後写鏡の状態等で死角を大きくすることがないよう、指導しているか。
適性診断結果を活用した指導を行っているか。とくに、安全態度や注意の配分が低い運転(脇見運転など)をしやすい傾向にある運転者に対して自覚を促すなどの、安全な運転方法について指導を行っているか。

過去の事故統計から、秋~冬にかけての夕方の陽が落ちる「薄暮」時が重大事故発生率が高くなっています。12月の日没時間は16時30分ごろですので、少なくともその30分以上前にはライトを点灯するようにしましょう。

 

全体的に重点点検項目は「人」の管理に関する部分が多くなっていますが、運送業はドライバーが要ですので、事故防止のためにこれらの項目は実行しておきたいところですよね。

その他点検項目

1.点呼の実施、運転者に対する指導監督等の実施状況

① 点呼の際、運転者の運転免許証の携行、有効期限の確認を確実に行っているか。
② 適性診断結果を活用した指導を行っているか。特に高齢の運転者に対し、加齢に伴う身体機能の変化の程度に応じた安全な運転方法について指導を行っているか。
③ 事故が発生した際は、その事故の実態を確実に把握し、じゅうぶんな指導・監督を行うなど事故防止対策が図られているか。
過積載運行等の防止を図っているか。
⑤ 過積載、暴走等を助長するような車両の不正改造(例:不正な二次架装、速度抑制装置の機能の解除、全面ガラス等への装飾板の取付、さし枠の取付、突入防止装置の取り外し、基準不適合となるマフラー取付等)の防止が徹底されているか。

上記は普段からおこなうべき法令遵守事項でもありますので、漏れなく実施しましょう。

 

2.コンテナ輸送における安全対策の実施状況

① コンテナの運送開始前に、トレーラの荷台とコンテナを固定する緊締装置のロックを徹底するよう運転者に指導しているか。
② トラクタ・トレーラの構造上の特性と、当該特性およびコンテナ内貨物の状態をふまえた運転時の適切な運転操作について運転者に指導しているか。
③ 国際海上コンテナの運送を行う場合には、荷主や取次事業者等、運送の委託者からコンテナ内貨物の重量、品目、梱包、危険物に関する情報を取得し、当該情報を運転者に伝達しているか。
④ 国際海上コンテナの運送を行う場合には、荷主や取次事業者等、運送の委託者から取得した情報にもとづき適切な車両を手配するとともに、当該情報によりあらかじめコンテンアに不具合のおそれがあると認められる場合には、当該委託者に連絡し、対応について指示を仰いでいるか。
⑤ 国際海上コンテナの運送を行う場合には、コンテナの運送開始前に、重量超過、偏荷重、高重心、コンテナの損傷、内容物の漏れ、その他不具合が生じていないか確認し、これらのおそれがある場合には、事業者に連絡するよう運転者に指導しているか。

 

3.自然災害・事故・事件等発生時の乗客等の安全確保のための通報・連絡・指示体制の整備・構築状況

① 自然災害・事故・事件等発生時(テロ発生時を除く)における対応措置(連絡通報体制、避難誘導体制等)を整備・構築しているか。
② 自然災害・事故・事件等発生時(テロ発生時を除く)において、連絡通報体制、避難誘導体制が機能するよう、実践的な訓練を実施しているか。
危険物等運搬車両については、緊急連絡カード(イエローカード)の携行その他必要事項について規定されているか。
④ 「自動車運送事業者等用緊急時対応マニュアル」にある速報対象となる事故・事件が発生した場合、当該マニュアルに従い、速やかに各地方運輸支局等緊急連絡担当先へ連絡できる体制を整えているか。

上記の中で出てくるイエローカードとは、危険物を運搬していない事業者はあまり馴染みがありませんが、緊急連絡先以外にも危険物の種類、特性や、事故が発生した場合の応急措置の手順などが載っており、その他必要とされる携行品とともに、外部機関からチェックされる機会がありますので、必ず内容等確認しておきましょう。

 

4.テロ防止のための携帯体制の整備状況や乗客等の安心確保のための取組、テロ発生時の通報・連絡・指示体制の整備状況およびテロ発生を想定した訓練の実施状況

① 始業・終業時等における社内の点検、終業後のドアロックおよび営業所・車庫内外の巡回が徹底して実施されているか。
② 不審者情報の入手および不振な宅配便等貨物を発見した場合の警察への連絡等適切に対応できる体制が整っているか。
③ テロ発生時における通報・連絡・指示体制が実態に即した形で確立されているか。
放射性物質等、危険物輸送における安全管理が徹底されているか。

5、新型インフルエンザ対応マニュアル、事業継続計画の策定状況、対策に必要な物資等の備蓄状況および職場におけるうがい・手洗い等感染防止対策の周知徹底状況

① 職場内におけるうがい、手洗いおよび消毒用アルコールを使用した手指消毒の徹底が図られているか。
② インフルエンザ等の流行に備え、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時におこなうべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段等を取り決めておく事業継続計画、または対応マニュアルが策定されているか。

冬場は毎年のようにインフルエンザが流行していますが、通常は年末は忙しい事業者が多いため、一人がインフルエンザにかかってしまうと大変なことになっていまいますよね。

インフルエンザの予防接種などは、健康保険組合から補助金が出たりすることもありますので、早めに予防接種を受けておきましょう

 

上記総点検項目は、点検実施責任者と、点検最高責任者を定めて、期間中は事務所内に掲示しておきましょう。

年末年始、輸送安全総点検まとめ

点検の最後には、「総点検期間中に経営トップが何回現場視察を実施したか」「総点検期間中に発生した重大事故状況」の項目があります。

現場だけで点検をして確認を行っても、経営のトップが点検状態をしっかり把握しているのかどうかを問われることになりますので、多少の時間を割いても確認をしておくべきです。

年末年始は忙しくてドタバタすることもありますが、重大事故が発生すればより大変なことになりますから、ぜひ積極的に総安全点検を実施して事故防止につなげましょう。


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