Gマークの認定事業所は、2019年度で全国の26,192事業所が取得し、全事業所のうちの30.5%が認定を受けることとなりました。
内訳としては
- 新規申請・・・1,487事業所
- 初回更新・・・1,525事業所
- 2回目更新・・・2,175事業所
- 3回目更新・・・1,917事業所
- 4回目更新・・・1,003事業所
- 5回目更新・・・1,112事業所
- 2016~2018年度取得・・・16,973事業所
(全日本トラック協会 2019年度貨物自動車運送事業安全性評価事業より)
となり、一度取得した事業所は、大半が継続してGマークの認定を受け続けているということがデータから読み取れます。
つまりそれだけメリットのあるGマーク認定ですから、ぜひ取得することをお勧めしています。
しかし、手続きをしようとしても何が揃えたら良いのか、申請条件に当てはまっているのか、どんな流れなのかは、新規で申請する場合は分かりづらいと思います。
ここではGマーク申請の流れを手引きに沿ってざっと解説していきます。
1.法に基づく認可申請、届出、報告事項が適正になされているか
1.認可申請、届出、報告事項チェックシートを利用し、各項目に関し適性になされているかを確認し、チェックシート項目のうち一つでも適正でない場合には認定されません。
2.認可申請、届出、報告事項が適正になされていないことが判明した場合には、申請までに所要の手続きを速やかに行ってください。また、申請後においても、認可申請、届出、報告が必要な事由が生じた場合には、速やかに所要の手続きを行ってください。
1番で言われているチェックシートについては、主に事業計画変更の届出や、労務関係の内容になっています。
チェックシートの項目としては
法に基づく認可申請、届出、報告事項チェックシート
法に基づく認可申請、届出、報告事項チェックシートの内容
内容 | 事項 |
(1)主たる事務所および営業所の名称、位置に変更はないか A.主たる事務所の名称は正しく届出されているか |
認可または事後届 |
(2)営業所の配置する事業用自動車の種別および数に変更はないか A.普通車、小型車、トラクタ、トレーラの種別とその数は、正しく届出されているか |
事前届 |
(3)自動車車庫の位置および収容能力に変更はないか A.自動車車庫の位置は正しく許可または認可を受けているか |
認可 |
(4)乗務員の休憩・睡眠施設の位置、収容能力に変更はないか A.休憩・睡眠施設の位置は正しく許可または認可を受けているか |
認可 |
(5)届出事項に変更はないか(事業者の名称、住所、役員変更等)【本社営業所に限る】 A.事業者(本社)の名称や住所は正しく届出されているか |
事後届 |
(6)事業報告書、事業実績報告書を提出しているか【本社営業所に限る】 A.事業報告書は毎事業年度の経過後100日以内に提出されているか |
事後届 |
(7)自動車事故報告書を提出しているか A.自動車事故報告書は、自動車事故報告規則に定められた事故が発生した場合、30日以内に提出されているか |
事後届 |
(8)運行管理者の選任等について、届出されているか A.運行管理者資格証を有する者で、配置車両数に応じた必要な員数の運行管理者が選任され、正しく提出されているか |
事後届 |
(9)整備管理者の選任等について、届出されているか
|
事後届 |
ここでは基本的にちゃんと届け出るものは届け出ているかを問われ、Gマークの評価に当たって前提となる部分です。
ちなみに7番の「自動車事故報告書」の提出については、普段は物損などの事故記録を3年分保存していると思いますが、ここでは自動車事故報告規則2条の事故が発生し、届け出た事故のみになります。
2.社会保険等への加入が適正になされているか
社会保険等の加入チェックシート
(1)労災保険、雇用保険に加入しているか A.労働基準監督署に適用事業所として正しく届出されているか |
必須 |
(2)健康保険、厚生年金保険に加入しているか A.健康保険について、年金事務所(協会けんぽ)または健康保険組合(組合健保)に適用事業所として正しく届出されているか |
必須 |
社会保険等については「法に定める従業員、パート・アルバイト」が該当しますので、ドライバーを個人事業主として契約している場合は該当しません。
しかし社員として雇用している場合には必ずもれなく加入しておきましょう。
また、注意事項として
巡回指導の際に「法に基づく許可申請、届出、報告事項」および「社会保険等の適正加入」のいずれかについて改善報告を求められた場合には、下記の改善報告期限内に改善報告がない場合は認定されません
- 申請時準備前の巡回指導➔Gマーク申請月の末日まで
- 申請基準日以後の巡回指導➔巡回指導実施日から1か月以内(最終日が土・日・祝日の場合は直前の平日まで)
どういうことかというと、Gマークの申請前に巡回指導が入り、届出がちゃんとなされていない場合に改善報告が出された場合、Gマークを申請する年の7月末日までに改善報告を提出。
またはGマークを申請した後の巡回指導で指摘があり改善を求められた場合には、巡回指導の実施日から1か月以内に改善報告書を提出しなければ、Gマークの認定が下りなくなります。
上記の
- 法に基づく認可申請、届出、報告事項が適正になされているか
- 社会保険等への加入がなされているか
を確認して問題なければ、次にGマークの申請資格要件を確認します。
3.申請資格要件を満たしているか
Gマークを申請する前に、次の要件を満たしていないと申請することができません。
- 事業開始後(運輸開始後)3年を経過していること
- 配置する事業用自動車の数が5両以上であること
a.虚偽の申請、その他不正な手段等による申請の却下または評価の取り消しを受けた事業所にあっては、当該却下または取り消しに係る申請年度後2事業年度を経過していること
b.不正申請等により認定の取り消しを受けた事業所にあっては、取り消し後2年を経過していること- 認定証、マークおよびステッカー等の偽造もしくは変造または不正な使用により是正勧告を受けた事業所にあっては、当該是正勧告の履行状況が確認され、および偽変造等に係る認定証等の提出を受けた日後3年を経過していること
1番については、許可を受けたときからではなく、運輸開始届を出してから3年以上経過しているかが要件になります。
運輸を開始してから3年未満の事業所については、こればかりは要件をどうやっても満たすことができないので、認証を取得して差別化を図ったり荷主や第三者からの評価を高めたい場合にはグリーン経営認証などの、他のものを取得してみましょう。
2番はそもそも一般貨物事業の許可要件を満たしていませんので、厳しいですよね。
3番については同じ不正申請であっても申請却下または評価取消しと、認定取り消しの場合でそれぞれ欠格期間が違います。
これはGマーク認定前に発覚するか、認定後に発覚するかで重さが変わります。
Gマーク申請の書類を揃えていくうえで、実際にはやっていないのに書類上だけはやったことにして申請するということはかなり多く見受けられますので、気を付けましょう。
4.申請書類の記入または「申請書作成システム」による作成
申請書類に関しては次のようになります
- 安全性評価申請書(第1号様式)【Web】
- 上記1が複写式申請書の場合は申請書実費払いを証する振替払込請求書兼受領証の写し
- 厚生年金保険料の納付状況が確認できる書類の写し
- 該当する場合には自動車事故報告書の写しおよび当該事故に係る関連資料
- 安全性に対する取組状況についての自認書(第2号様式)【Web】
- 運輸安全マネジメントに対する取組状況についての自認書(第10号様式)
- 役職員名簿(第2号の2様式)に定められた様式以外による提出は認められません【電子】
- 運輸安全マネジメントに対する取組状況の自認事項に係るチェックリスト【電子】
- 安全性に対する取組状況の自認事項に係るチェックリスト【電子】
※【Web】の書類は、「申請書作成システム」で作成できます
※【電子】の書類は、全日本トラック協会のホームページより、電子ファイルをダウンロードできます
Gマークの申請では紙媒体の申請書か、インターネット上で作成する方法の2種類があります。
紙媒体のほうでは申請書自体が有料(1,000円)になってしまうため、最近ではほとんどインターネット上で作成する事業所が多いです。
その際は全日本トラック協会のサイトから「Gマークweb申請HP」のページにアクセスして作成します。
ただここではあくまで申請書ですので、添付資料は別途用意する必要があり、その量もかなりのものになります。余裕をもって早めに取り組んだ方が良いでしょう。
5.自認事項を証する書類の準備
自認事項の書類については上記4の申請書類の作成時で申請書作成システムを利用していれば簡単に作成できます。
ですので特別な事情がない限りは添付資料を除いた申請書類はウェブ上で作成しましょう。
6.申請書類の提出
7.巡回指導
Gマークの申請が受け付けられると、巡回指導がやってきます。
ここでは「安全性に対する法令の遵守状況(40点)」のうちの中項目1~5(24項目37点)は、この巡回指導の結果をそのまま採点しますが、基本的にはそれ以外についても通常通りの巡回指導と同じように見られるので気を付けるポイントです。
また、巡回指導の実施日は事前に通知書が送付されてきますが、おそらく新規やA方式は早めの夏の間に行われ、その他のB~D方式の更新については後回しで行っていると考えられます。
ここで注意したいのは、Gマーク申請月の7月の段階で帳票類を万全に備え、巡回指導が11月ごろにやってくるといった場合、7月から11月までの4か月間の帳票類をちゃんと用意していないパターンです。
例えばGマークを申請した7月の段階では3ヵ月点検記録簿を全て用意していたにもかかわらず、
8、9、10月分の点検記録簿をまとめていなかったり、その間に入社したドライバーに初任診断を受けさせていなかった等の場合には指摘を受けることとなりますので、継続してやるべきことはやっておかないといけません。
8.認定要件に係る改善報告期限
9.評価の実施
実施機関で、巡回指導の結果や自己・違反実績、申請書類を精査して評価をします。
評価は点数で付けられることになり
- 安全性に対する法令の遵守状況(配点40点/基準点数32点)
- 事故や違反(行政処分)の状況(配点40点/基準点数32点)
- 安全性に対する取組の積極性 (配点21点/基準点数12点)※2020年度から配点が20点から21点となり、101点満点になりました。
上記の基準点数をそれぞれ上回ることで認定か否かがきまります。
10.評価結果の通知
もしGマークの申請認定がされた場合、事業所には認定証が授与されます。
この認定証は、助成金や他の認証等を受ける場合に写しが必要となるケースが増えてきますので、必ず分かりやすい場所に保管して無くさないようにしましょう。
また、事業所の入り口や車両に貼り付けるGマークのステッカーを購入できますので、使用する場合は購入するようにしましょう。
Gマークの新規申請から認定までのまとめ
Gマークの新規申請を行う場合の、申請から認定までの流れをまとめると
- 事業計画、社会保険加入状況は適切かを確認する
- 運輸開始から3年以上経過している等の要件は満たしているか
- 申請書類を調達、作成
- 自認事項の書類に沿って添付書類を揃えてファイリングする
- Gマーク申請期間になったら早めに窓口へ行き、相談。申請書類を提出する
- 巡回指導に備え、不備の無いようにし、指摘箇所があった場合はすぐに改善報告書を提出する
- 認定が下りたら必要に応じてステッカーを購入、授与されたGマーク認定証は必ず大切に保存する
といった順番になります。
近年では運送業のコンプライアンスが厳しくなる一方で、このGマークの認定要件をクリアできる事業所がかなり増えていると思います。
せっかくコンプライアンスを意識して改善しているわけですから、Gマークのような認証を積極的に取りに行くのがおすすめです。
是非チャレンジして取得してみましょう。