こんにちは。
平成30年7月1日から過労防止に関連する行政処分が強化されます。
改正の項目は
- 乗務時間等告示遵守違反
- 健康状態の把握義務違反
- 社会保険等未加入
になります。
自動車運送業の運転者は、全ての職業と比較して労働時間が1~2割多く(にもかかわらず賃金は1~3割低い・・・)、過労死認定も職種別で最も多いということで平成29年8月に行われた自動車運送業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議において、過労防止関連違反等に関する施策で行政処分強化を行う方針が示されました。
現行の初違反
○乗務時間等告示遵守違反
- 未遵守5件以下・・・警告
- 未遵守6件以上15件以下・・・10日車
- 未遵守16件以上・・・20日車
- 未遵守31件以上3名以上等・・・30日事業停止
○健康状態の把握義務違反
- 把握不適切50%未満・・・警告
- 把握不適切50%以上・・・10日車
○社会保険未加入
- 一部未加入・・・10日車
- 全部未加入・・・20日車
改正後の初違反
○乗務時間等告示遵守違反
1か月の拘束時間および休日労働の限度に関する違反が確認された場合、現行の件数として計上し処分日車数を算出するとともに、さらに別立てで以下の処分日車数を算出、現行の処分日車数に合算。
- 未遵守1件・・・10日車
- 見遵守2件以上・・・20日車
○疾病、疲労等のおそれのある乗務
- 健康診断未受診者1名・・・警告
- 健康診断未受診者2名・・・20日車
- 健康診断未受診者3名以上・・・40日車
○社会保険等未加入
- 未加入1名・・・警告
- 未加入2名・・・20日車
- 未加入3名以上・・・40日車
余談ですが、健康診断の受診に関しては、運転者側にも受診義務があります。
また、改正に伴って処分量定の引き上げがあり、行政処分によって使用を停止させる車両数が現行の3割から5割までに引き上げられます。
例えば、150日車の行政処分があり、事業所に10両の車両があった場合、現行ではそのうち2両×75日車両停止だったのが、改正後は最大で5両×30日車両停止になります。
以前までナアナアでやってきた部分、つまりほぼ休車に近い車両を選んで車両停止にする事例もあったと思いますが、改正後はそうした誤魔化しも厳しくなると思います。
個人的には、色々と法的な縛りがきつくなる一方ですが、運送事業者に対しての処分を強化する方向だけではムダ・ムラ・ムリが増える一方だと思います。
特に過労防止関連については、荷主も含めた社会全体が変わらない限りは何も良くならないのではないでしょうか。