当ブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。

🩺「健康管理の重要性」ってなに?|トラック運転者向け指導指針⑪

トラックの安全運転に欠かせないのは、運転技術やルールの順守だけではありません。
ドライバー自身の「健康状態」が安全のカギを握っていることは、言うまでもありません。

長時間労働・不規則な生活・偏った食事…。
運送業の現場では、健康を崩すリスクが常に身近にあります。
この記事では、事故を防ぎ、安全な運行を続けるための「健康管理の基本」を解説します。

この記事でわかること

  • なぜトラック運転手に健康管理が重要なのか
  • 実際に起きた健康起因事故の事例
  • 会社として取り組むべき健康管理対策
  • ドライバー自身ができる健康習慣

🚨 健康が原因で起きる事故は、意外と多い

トラック運転中に突然体調を崩して事故に至るケースは、毎年報告されています。
国土交通省の資料によると、**運転者の体調不良が原因とされる事故は、全事故の約3〜5%**を占めています。
しかし実際は、ヒヤリ・ハットや軽微な事故を含めれば、体調が影響した運転ミスはもっと多いと考えられます。

📉 実際に起きた健康起因の事故事例

事例①:心筋梗塞で意識を失い、対向車と衝突

50代男性ドライバーが体調不良を訴えながら無理に出発。走行中に意識を失い、対向車と正面衝突。ドライバーは死亡。

事例②:高血圧が原因で運転中にめまい

定期健診で高血圧を指摘されていたが、通院せず放置。走行中にめまいを感じてガードレールに接触。

🧑‍🏫 ドライバー自身ができる健康管理

項目

内容

✅ 睡眠

毎日6時間以上。休日の寝だめは逆効果。

✅ 食事

コンビニ食に偏らず、野菜・たんぱく質を意識。

✅ 運動

1日10分のストレッチでも効果あり。腰痛・肩こり対策に。

✅ 水分補給

冬場でも脱水注意。適度に水やお茶を摂取。

✅ 禁煙・節酒

血管の健康を守る。集中力の維持にも効果あり。

✅ 持病管理

薬の飲み忘れ防止・体調異変時の申告を徹底。

🏢 会社・運行管理者が行うべき健康対策

健康診断の定期実施と結果の共有

  • 年1回以上の定期健康診断を実施
  • 結果は本人だけでなく管理者も把握(※個人情報の取り扱いは厳重に)
  • 「経過観察」がついた場合はフォローアップや医師の診断を促す

🌙 夜間業務者には“年2回”の健康診断が義務です

通常の定期健康診断は年1回の実施が原則ですが、
「深夜業(午後10時〜午前5時にかかる業務)」に常時従事するドライバーについては、
労働安全衛生法により、年2回の健康診断が義務付けられています。

  • 対象者:月4回以上、深夜業務に従事する運転者
  • 実施時期:6か月ごとに1回が目安
  • 内容:通常の定期健康診断とほぼ同じ(血液・心電図・血圧など)

なぜ夜間勤務者は注意が必要?

夜間は、

  • 体内時計が乱れやすい
  • 睡眠不足・自律神経の乱れが起きやすい
  • 疲労の蓄積に気づきにくい

という背景があり、健康トラブルを見逃しやすい環境にあります。

👉 夜間運行のドライバーには、よりきめ細かな健康管理と会社のサポート体制が求められます。

疲労や体調異変の“見える化”

  • 点呼時に「疲れていますか?」「昨日は眠れましたか?」と確認
  • 顔色・声のトーン・目の充血など、小さな変化を見逃さない
  • 状況に応じて「乗務見送り」「休憩指示」を遠慮なく判断

👀 毎日の点呼だからこそ“変化”に気づける

健康状態の異変は、本人が気づきにくいこともあります。
しかし、運行管理者や配車係が毎日顔を合わせて点呼を行っていると、ちょっとした変化に気づけることがあります。

  • 「今日はいつもより声が小さいな」
  • 「顔色が悪い」「返事が遅い」
  • 「いつも明るい人が無言…?」

こうした**“いつもと違う”に気づけるのは、日常的なコミュニケーションの積み重ねがあるからこそ**です。

📌 見逃さずに「どうかしましたか?」「無理はしないでくださいね」と声をかけることで、
重大な体調不良や精神的ストレスの“初期サイン”をキャッチできる可能性が高まります。

👉 **「管理」は形式的な確認ではなく、“気づきの習慣”**として行うことが大切です。

病気・通院中のドライバーへの配慮

  • 糖尿病・高血圧・心疾患など持病がある場合は、配車の負担軽減や時間の余裕を持たせる
  • 必要に応じて運転を制限し、内勤や軽作業へ一時的に配置転換することも検討

🧑‍⚕️ 健康に“無関心”なドライバーほどリスク

中には、「自分はまだ若いから」「病院が苦手だから」と健康診断を軽視する人もいます。
しかし、突然の体調異変は、事故に直結します。

🚫「倒れてからでは遅い」
🚛「健康を管理することも、安全運転の一部」
という意識づけが大切です。

私が運行管理をしていたときも、やはり体調が悪いのに無理して仕事を続けて、結局末期のがんであることが発覚してすぐに亡くなる事例がありました。

 

ドライバーは座りっぱなしの時間も多く、また長時間の運転中は手持ち無沙汰でたばこを吸う人もかなり多いです。

ですから積極的に健康に対する意識をドライバーさんに持ってもらうため、指導者側は常に健康を意識するための施策をしてみましょう。

まとめ

  • 健康を軽視すると、命も仕事も一瞬で失いかねません
  • 体調が悪いと感じたら、無理をせず申告・休養を
  • 会社は“言いやすい空気”と“休める体制”を整えることが重要

🩺 「健康は、最も基本の安全装備」です。
毎日の体調管理が、事故ゼロにつながります。

 

以下に点検時に注意すべきポイントをまとめましたのでご参考ください

 

👁️‍🗨️ 点呼時に気づくべき観察ポイント一覧

観察ポイント

着目すべきサイン

対応のヒント

顔色・表情

顔が青白い/赤ら顔/表情が険しい

「今日は体調大丈夫ですか?」と声かけ

声のトーン

声が小さい・かすれている/覇気がない

疲労や睡眠不足、精神的な不調の可能性

目元の様子

充血・腫れぼったさ/焦点が合っていない

睡眠不足や薬の影響の疑い

あいさつ・返答の反応

無言・ぶっきらぼう/反応が遅い

感情面の不安定さ、トラブルの兆候かも

歩き方・姿勢

フラつき/足取りが重い/猫背

腰痛・体調不良・過労のサイン

持ち物や服装

着崩れ/不衛生な身なり/忘れ物が多い

精神的余裕のなさや注意力低下を疑う

口調・態度の変化

急に怒りっぽい/逆に無口になる

心理的ストレス・職場トラブルの兆候

📌 「ちょっと変だな」と思ったら、まず一声かける。
そのひとことが、事故や健康トラブルの未然防止につながります。

👉 観察→声かけ→判断→対応。このサイクルを日常に取り入れることが、管理者の“安全力”です。