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🚧】危険の予測及び回避並びに緊急時における対応方法|トラック運転者向け指導指針⑧

危険は「予測」してこそ回避できる

トラックドライバーにとって、安全運転は最優先事項です。しかし、単に法規を守っているだけでは不十分です。大切なのは、「危険を予測しながら運転する意識」です。

例えば、以下のような場面ではどうでしょうか?

  • 交差点で自転車が急に飛び出してくるかもしれない
  • 高齢者がフラつきながら歩道を歩いている
  • 夜間、無灯火の歩行者がいるかもしれない

これらはすべて「かもしれない運転」が重要になります。
常に「次に何が起きるか?」を意識して運転することが、事故を未然に防ぐ最大のポイントです。

危険の“見える化”|ポイントを押さえた視野確保

トラックは死角が多く、普通車よりも視認性が低いという特性があります。
だからこそ、以下のような工夫が大切です。

  • 交差点では左右・後方をしっかり目視確認
  • ミラーだけに頼らず体を動かして確認
  • 見えにくい左折時は徐行・一時停止を徹底
  • バック時は必ず誘導員を活用(またはカメラ確認)

緊急時の対応能力を身につける

どれだけ注意していても、緊急事態は突然やってきます。
そのときに冷静に対処できるかどうかで、被害の大きさが変わります。

<主な緊急対応の例>

タイヤバースト時
→ ハンドルをしっかり握り、急ブレーキは避けて徐々に減速しながら路肩へ。

ブレーキが効かなくなったとき
→ エンジンブレーキ・サイドブレーキを活用して安全な場所へ誘導。

火災が発生した場合
→ 安全な場所へ停車し、消火器を使って初期消火を試みると同時に、速やかに避難と通報を。

さらに、自分の車両に異常が発生した場合だけでなく、目の前で他車が事故を起こした場合の行動についても訓練・共有しておくことが重要です。

例えば、高速道路で前方車両がスリップしたときや、交差点で歩行者との接触事故が発生したときなど、その場に居合わせたドライバーが適切な行動を取れるかどうかが、二次被害の防止につながります。

  • 安全を確保したうえで停車し、後続車に注意喚起
  • 発炎筒や非常信号灯の設置
  • 負傷者がいれば救護・通報の手順を即座に実行
  • 無理に救出せず、状況を見極めた上で応急対応に徹する

こうした対応は、日常の中でマニュアルを確認したり、シミュレーショントレーニングを実施しておくことで、いざという時の落ち着いた行動に繋がります。

危険回避も緊急対応も「事前準備」が命を守る

事故を未然に防ぐには、日頃の教育と意識付けが不可欠です。
また、実際に緊急事態が発生したときに備えて、以下を定期的に見直しましょう。

  • 非常停止表示板や発炎筒の位置・使用方法
  • 消火器の設置状況と使用手順
  • 車両故障時の緊急連絡先の確認
  • ドライブレコーダーの録画確認や機能チェック

現場目線のひとこと(元・運行管理者より)

私が運行管理をしていた頃、一番気をつけていたのは**「安全なうちは危険を忘れがちになる」**という点です。
毎日無事故でも、1回の油断が命取りになります。特に新人ドライバーは「危険を見抜く目」がまだ育っていないことが多いです。

だからこそ、“ヒヤリ・ハット事例”の共有は効果的でした。
現場で実際に起きた事例をみんなで共有することで、「自分だったらどう対応するか?」と常に考えさせる仕組みを作っていました。

また、ヒヤリ・ハットの報告が頻繁なドライバーに対しては、個別の面談や実地指導を通じて具体的な改善策を提示することも大切です。
単に「気をつけて」と言うだけでは改善されません。
運転特性や行動パターンを把握したうえで、どこに注意が足りていないのかを一緒に分析し、具体的な行動改善に繋げるフォローアップが重要です。

 

危険回避も緊急対応も「事前準備」が命を守る

事故を未然に防ぐには、日頃の教育と意識付けが不可欠です。
また、実際に緊急事態が発生したときに備えて、以下を定期的に見直しましょう。

  • 非常停止表示板や発炎筒の位置・使用方法
  • 消火器の設置状況と使用手順
  • 車両故障時の緊急連絡先の確認
  • ドライブレコーダーの録画確認や機能チェック

さらに、運行前にはKYT(危険予知トレーニング)を必ず実施することが重要です。
KYTとは、「この現場・このルート・この作業でどんな危険が潜んでいるか?」をあらかじめイメージし、予測→回避行動を明確化する訓練です。

「今日のルートは工事区間がある」「荷積みに時間がかかる場所」「狭い道を通る」など、日々の業務の中にも危険の種は潜んでいます。
運行前に一人でもできるKYTを取り入れることで、事故の芽を事前に摘むことができます。

また、KYTを行う際は言葉だけでなく、イラストや写真など視覚的な資料を活用することが効果的です。
現場風景の写真に危険箇所を書き込んだり、状況を絵で表したりすることで、誰にでもわかりやすく伝わり、注意すべきポイントの共有がスムーズになります。

 

まとめ|“かもしれない運転”は命を守る技術

  • 危険は「予測」することで初めて回避できる
  • 緊急時の対応は知識と冷静な判断力がカギ
  • 日常的な教育・情報共有・安全意識の維持が重要

日々の運転において、「大丈夫だろう」ではなく「もしかしたら」を意識する。
それが、ドライバー自身の命、そして社会全体の安全を守る一歩となります。

また、ある程度その営業所で各ドライバーの特徴を知っている管理者であれば、だれがどのような運転上のクセがあるかを把握していることもあり、それに応じて個々の指導をしていくことが大事だと思います。

ひとたび事故が起きれば、規模や内容によっては会社の存続も危うくなることさえあるのが運送会社です。ぜひヒヤリハットは確実に行い、安全運転を根付かせていきましょう。