「ナビ通りに走ればOK」――そう考えていませんか?
大型車の運行では、**経路選びこそが“安全運転の第一歩”**です。
通行制限、交通量、道幅、坂道、事故多発地点…
乗る前に把握しておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
本記事では、安全かつ効率的に運行するための「経路確認の重要性」について解説します。
✅ この記事でわかること
- 経路確認を怠ると起きるリスク
- 大型車だからこそ注意すべきポイント
- 具体的なチェック方法と事前対策
- ドライバーと配車係の役割分担
🚧 経路を甘く見ると、こうなる!
- 進入禁止でUターンできない → 大渋滞を引き起こす
- 狭い道で立ち往生 → ガードレールや家屋に接触
- 高さ制限で通過できず → 橋に衝突、車両破損
- 住宅地で騒音トラブル → クレーム・評判悪化
- 回送距離が大幅増加 → 時間・燃料ロスで赤字運行
📌 経路確認で見るべきポイント
▶ ① 大型車通行可かどうか
- 車幅・高さ・重量制限がないか
- 通行許可が必要な道路か(特車許可対象か)
- 大型車進入禁止標識の有無(事前にストリートビューで確認)
▶ ② 道幅・曲がり角・内輪差の確認
- 特に都市部や倉庫周辺は急カーブ・狭いT字路に注意
- 納品先が住宅街・商店街の中にある場合、徒歩で下見or衛星地図で確認がベスト
▶ ③ トンネル・橋の高さ制限
- 3.8m・3.5m制限の橋やトンネルが多い地域では要注意
- 高さ確認を怠って橋に衝突 → 数百万の損害+信頼失墜
▶ ④ 勾配・カーブ・天候の影響
- 上り坂でオーバーヒート/下り坂でブレーキ過熱(フェード現象)なども起こりやすい
- 雪道・凍結路ではチェーン規制や通行止めの可能性あり
▶ ⑤ 交通量・事故多発ポイント
- 朝夕の通勤・通学時間帯は混雑/交通事故が起きやすい場所は避ける
- 交差点の見通しや信号タイミングも事前確認しておくと安全性が高まる
😓 経路確認って、正直けっこう大変…
大型車の運転では、「通れる道かどうか」を事前に調べる作業が付きものですが、
正直、その作業が一番めんどうで手間がかかるという声もよく聞きます。
- 地図アプリには「大型車通行禁止」が表示されないことも多い
- ストリートビューで曲がり角や橋の高さを一つずつ確認
- 納品先が住宅街の中だったり、入口が分かりづらい倉庫だったり…
👉 配達の前に、この下調べだけで30分以上かかることもざらにあります。
でもだからこそ、
「めんどうだからこそ大切」なのが経路確認なんです。
- 運行中に困らない安心感
- トラブルやクレームを未然に防げる
- 事故のリスクを大きく下げられる
⏱️ 今の30分が、明日の30万円の事故を防ぐ。
そう考えて、できるだけ手間を省けるように
✅ 前回走ったルートの記録
✅ 社内の地図共有
✅ Googleマイマップ活用 などを取り入れると負担が減ります。
🧑🏫 指導時に伝えたいこと
- 「ナビ任せ」はNG。必ず事前に地図・写真・周辺情報をチェックする
- 配車係との連携で「会社として想定した安全なルート」を用意しておく
- トラブルが起きた場合に備え、代替ルート・最寄りの休憩所・給油所も事前確認しておく
🚨 実際のトラブル事例
事例①:高さ制限に気づかず衝突 → 貨物破損+運行不能
- 3.5m制限の高架下に進入
- トラックの荷台が橋に接触し、積荷と車両後部が大破
- 現場通行止め・荷主からの信頼喪失
事例②:住宅街に進入 → 脱輪・通報される
- 狭い道に誘導されたまま進入
- 脱輪で道路をふさぎ、周囲から通報 → 警察対応+SNSで拡散
🚨 経路誤りが招いた重大事故の事例
事例:横浜市神奈川区の踏切事故
2019年9月5日午前11時40分頃、横浜市神奈川区の京急本線神奈川新町駅近くの踏切で、快速特急列車と大型トラックが衝突する事故が発生しました。
この事故により、トラックの運転手(67歳)が死亡、列車の乗客ら35人が負傷しました。
事故の経緯:
- トラックは当初の運行経路を外れ、狭い道路に迷い込んでしまいました。
- 元の経路に戻ろうと試みる中で、踏切に進入しましたが、道幅が狭く曲がりきれず立ち往生。
- その直後に遮断機が下り、進退が取れない状況で列車と衝突しました。
事故の原因:
- 事前の経路確認不足:
運行前に適切な経路を確認しておらず、通行困難な道に迷い込んだこと。 - 運行管理者への連絡不足:
経路を誤った際、運行管理者や配車担当者に連絡・相談を行わなかったこと。
教訓:
- 事前の経路確認の徹底:
ナビゲーションシステムに頼るだけでなく、事前に地図やストリートビューで経路を確認し、大型車が通行可能かを把握する。 - 異常時の適切な対応:
経路を誤った場合や進行が困難な状況に陥った際は、自己判断せず速やかに運行管理者や配車担当者に連絡し、指示を仰ぐ。
この事例から、経路確認の重要性と、異常時の適切な対応がいかに重大な事故を防ぐかが明らかになります。
運行前の準備と、万が一の際の冷静な対応が、ドライバー自身と周囲の安全を守る鍵となります。
🧑💼 新しい場所は、運行管理者と一緒に確認するのが基本
初めて行く納品先、慣れていないエリア、経路に不安がある場合は、
必ず運行管理者や配車係と一緒に地図・ストリートビューなどで事前確認を行いましょう。
- 「この道、3t以上通れませんよ」
- 「ここは一方通行なので、逆側から回ったほうがいいです」
- 「到着時間によっては通学路と重なるから注意しましょう」
👉 経験豊富な管理者の視点で見落としを防げるだけでなく、
一人で悩まずに安心して運行できる環境づくりにもつながります。
✅ チームで運ぶという意識を持つ
ドライバーが現場で困らないよう、
出発前の“ひと手間”を一緒にかけるのがプロの現場対応です。
「個人プレーではなく、チーム運行」
この考え方が、事故を防ぎ、信頼される会社づくりにもつながります。
✅ まとめ
経路選定は、“走る前”の最大の安全対策です。
大型車は自由にUターンもできませんし、トラブルが起きれば社会的な影響も大きくなります。
- ナビだけに頼らず、自分の目・知識・地図で「通れるルート」を確認
- 無理なルートを回避することで事故・時間ロス・トラブルを未然に防ぐ
- 運行管理者や配車係と情報共有し、安全運行をチームで実現する
🗺️ 「経路確認はプロドライバーの基本技術」
明日の安全運転は、今日の下調べから始まります。
🗺️ 地図を見て“頭の中で走る”ことが安全につながる
ただナビに任せるのではなく、出発前に一度、地図を見ながら“頭の中で運転のシミュレーション”をしておくことが重要です。
- 「ここは右折がきつそうだな」
- 「この交差点は混雑しそうだから早めに減速しよう」
- 「最後の右折は一発で入れないかも、少し手前で停まって確認しよう」
このように、“走る前に一度走ってみる”意識があるだけで、
運転中の判断がスムーズになり、焦りやミスを防ぐことができます。
✅ オススメの確認方法
- Googleマップ+航空写真・ストリートビューで「道幅・建物・標識」をチェック
- ルート案内で複数候補を比較し、一番“無理のない道”を選ぶ
- 時間帯別の交通量も可能な限り確認(通勤ラッシュ・学校前など)
👉 「地図は安全運転の設計図」です。
少しの手間が、大きな安心と信頼につながります。