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【2024年〜2025年対応版】最近の運送業に関する法改正まとめと実務ポイント

近年、運送業界を取り巻く法制度が大きく変化しています。特に「2024年問題」と呼ばれる働き方改革関連の改正や、運行管理者制度、Gマーク関連の実務運用など、経営者・運行管理者・ドライバーすべてに影響する内容が続々と施行・施行予定となっています。

本記事では、2024年以降に影響する主な法改正と、それに伴う実務対応のポイントをわかりやすくまとめました。


1. 働き方改革関連法による「時間外労働の上限規制(自動車運転業務)」

✅ ポイント:2024年4月から罰則付きで適用開始!

  • トラック・バス・タクシーなどの運転業務に従事する労働者にも、時間外労働の上限が「年間960時間」までと明確に規定されました。

  • 36協定で特別条項を結んでも、それ以上の時間外労働はできません。

  • 長時間労働による健康被害や過労運転を防ぐことが目的です。

  • これまで運送業界では「みなし労働時間制度」などで一部緩やかな扱いを受けてきましたが、ついに他業種と同様に厳格な時間管理が求められる時代が始まりました。

✅ 実務対応のポイント:

  • 配車計画・拘束時間の見直し

  • 荷主との交渉(積込待機時間の短縮など)

  • ドライバー採用・育成の強化

  • 荷主・元請業者との取引見直し(協力を得られない企業との関係整理)

  • ITツールの活用(動態管理、勤怠管理、休憩・休息時間の可視化)

【現場の声】 「毎日13時間以上働いていたのが当たり前だった。ルールができてからは、会社もようやく真剣に“人を増やす”という方向に動いた」

  1. 自動車運送事業法施行規則の改正

ポイント:点呼のIT化が本格的に認められるように(2023年4月施行)

  • 遠隔点呼(IT点呼)の要件が緩和され、支店・営業所間でも実施しやすくなりました。
  • 夜間・長距離便など、現実的に対面点呼が難しいケースでの運用が拡大。
  • IT点呼導入による人的負担の軽減と、働きやすさの向上を図る動きが強まっています。

実務対応のポイント:

  • 運行管理者による映像確認・記録保存のルール化
  • 導入する機器の選定(カメラ、記録媒体、クラウド等)
  • IT点呼実施計画書の作成・届出
  • IT点呼導入に向けた社内研修(ドライバー・管理者両方)
  • 実施後の点検・改善PDCA体制の構築

【現場の工夫】 「機械導入後も“朝の一言”や“注意喚起”は手を抜かないように、事前に動画を流すようにした。点呼が形骸化しない工夫が重要だと感じた」

  1. 運行管理者制度の強化

ポイント:指導監督義務違反の罰則強化、監査項目の明確化

  • 教育の実施状況や記録管理が厳しくチェックされる傾向に。
  • 特別講習の受講命令が出された場合、期日までの履行が求められます。
  • 運行管理者の資格保有・更新も厳格に運用されつつあります。

実務対応のポイント:

  • 指導教育記録の整備(12項目)
  • 指導内容の実質化(ただの記入ではなく、資料+理解チェック)
  • 運行管理者補助者との連携
  • 点呼内容の質向上(双方向の対話を意識した点呼)
  • 年間教育計画の策定と共有(スケジュール管理と実施履歴の残し方)

【現場改善例】 「以前は12項目を一気にまとめて“受講済”にしていたが、今は月ごとにテーマを分け、各項目を丁寧に実施している」

  1. Gマーク(安全性優良事業所)制度の審査厳格化

ポイント:運転者教育・記録・労働時間管理が重要項目に

  • 「実施した証拠」を伴う記録が求められる
  • 審査基準が形式重視から実質重視にシフト
  • 事故歴・違反歴など過去の記録が審査でより重視される傾向に

実務対応のポイント:

  • 教育記録の写し・資料を保存
  • 点呼記録と労働時間(タコグラフ)との整合性を確保
  • Gマークの更新を見越した1年分の運用体制整備
  • 車両管理記録、事故分析報告書、定期ミーティング議事録なども含めた「総合的な記録保存」
  • 教育・会議を外部講師や他部署と連携して行うなどの工夫も加点対象になる可能性あり

実施記録の具体的な証拠例:

  • 教育実施時の出席表(氏名・日時・署名)
  • 実際に使用した教育資料(パワーポイント、配布資料など)
  • 理解度テストや確認シート(記名式)
  • 教育実施時の写真(ホワイトボードの記録や集合写真)
  • オンライン教育の場合は受講履歴やログ記録

【審査担当者の声】 「“やっている証拠”が明確な会社は、教育の質も高いことが多い」

  1. 貨物自動車運送事業に関する新たな行政処分基準(改正予定)
  • 「重大事故を未然に防ぐ」ための抑止策として、事故報告の遅れや教育未実施なども処分対象に加わる方向で検討中です。
  • 特に事故報告の遅れについては、「報告義務違反」として行政監査の対象となり、改善命令や事業停止処分などの重い措置が科される可能性があります。
  • 事故の第一報(速報)を速やかに行い、詳細報告を期限内に提出する体制を整えておくことが重要です。

実務対応のポイント:

  • 事故発生時の社内報告フローの明文化
  • 速報・本報告の記載内容の整備と訓練
  • 管轄運輸支局との連携ルールの確認
  • 事故記録ファイルの様式統一(物損・人身・ヒヤリハットも一元管理)
  • 事故発生後の再教育記録、対応マニュアルの保存

【注意】 事故報告が遅れたことにより、過去に30日間の事業停止処分を受けた例も。

まとめ:変化に対応する者が生き残る

運送業界において、2024年〜2025年は「体質改善・法令遵守」がカギを握る時期です。 法改正は“脅威”ではなく、“改善のチャンス”とも言えます。

まずは今できることから一歩ずつ始めていくことが、ドライバーの命を守り、事業の信頼性を高める最大の戦略になります。

今後の対応に活かせる社内チェックリスト例(抜粋)

  • 月ごとの12項目教育計画を立てているか?
  • 教育資料と記録は保存されているか?
  • 点呼記録とタコグラフの整合性はあるか?
  • 事故時の報告・対応マニュアルは明文化されているか?
  • Gマーク審査に備えた1年分の実施証拠を保管しているか?

めまぐるしく変化する運送業界ですが、これをチャンスと捉えて前向きに変化についていきましょう。