営業所の運行管理者に選任されている人は、自動車事故対策機構(NASVA)が主催する講習を2年毎に受けていますよね?
運輸局へ運行管理者の届け出をしている人は、講習を受ける義務が法定されています。
その法定された講習はを主催する権限は自動車事故対策機構(NASVA)に委任されており、NASVAが行う講習の中でも、基礎講習、一般講習、特別講習があります。
基礎講習に関しては運行管理者の資格を得る前にほぼ全員受けているはずですよね。
そうなると運行管理者になってから受講するものは一般講習と特別講習の2種類ということになります。
では、どんなときに一般講習・特別講習を受講しなければならないのかを挙げていきますね。
まず、運行管理者が講習を受講しなければならない旨の根拠条文として、貨物、旅客ともに次のように定められています。
貨物自動車運送事業輸送安全規則
第23条(運行管理者の講習) 一般貨物自動車運送事業者等は、国土交通大臣が告示で定めるところにより、次に掲げる運行管理者に国土交通大臣が告示で定める講習であって次項において準用する第12条の2および第12条の3の規定により国土交通大臣の認定を受けたものを受けさせなければならない。
1.死者もしくは重傷者が生じた事故を引き起こした事業用自動車の運行を管理する営業所または法第33条の規定による処分(輸送の安全に係るものに限る。)の原因となった違反行為が行われた営業所において選任している者
2.運行管理者として新たに選任した者
3.最後に国土交通大臣が認定する講習を受講した日の属する年度の翌年度の末日を経過した者
旅客自動車運送事業運輸規則
第48条の4(運行管理者の講習) 旅客自動車運送事業者は、国土交通大臣が告示で定めるところにより、次に掲げる運行管理者に国土交通大臣が告示で定める講習であって次項において準用する第41条の2および第41条の3の規定により国土交通大臣の認定を受けたものを受けさせなければならない。
1.死者もしくは重傷者が生じた事故を引き起こした事業用自動車の運行を管理する営業所または法第40条の規定による処分(輸送の安全に係るものに限る。)の原因となった違反行為が行われた営業所において選任している者
2.運行管理者として新たに選任した者
3.最後に国土交通大臣が認定する講習を受講した日の属する年度の翌年度の末日を経過した者
要するに、運行管理者として選任されたあとは、法定で決められた講習を受けるタイミングが3つあるということになります。
その3つのタイミングとは
- 重大事故を起こした、または行政処分を受けたとき。
- 新しく運行管理者に選任されたとき。
- 運行管理者に選任されて継続的に仕事をしているとき。
になります。
重大事故を起こした、または行政処分を受けたとき
重大事故、または法令違反による行政処分を受けた営業所に選任されている運行管理者は、特別講習を受けなければなりません。
のべ2日間に分けて13時間行われます。
運行管理者としては一番受けたくない講習ですよね?
この特別講習を受けなければならない旨は、運輸局から受講を促す通知が送られてきます。
その通知の中で、誰が特別講習を受けなければならないのか名指しで書かれています。
もし営業所に複数の運行管理者が選任されている場合には、ほぼ統括運行管理者が指名され、営業所に運行管理者が一人しか選任されていない場合にはその人が指名されます。
営業所で特別講習を受けた運行管理者以外の全員についても、いつも2年前に受けている一般講習を、2年連続で受けなければなりません。
新しく運行管理者に選任されたとき
運行管理者として選任された場合、その選任された日の属する年度内に講習を受けなければなりません。
運行管理者として選任されて初めて受ける講習については、一般講習か基礎講習のどちらかを受けることになります。
というのも、基礎講習を今までに一度も受けてない場合は、基礎講習を受ける必要があるからです。
しかし、運行管理者になるためには、それまでに受験資格取得や、実務経験ルートの場合で基礎講習を受けているので、ほぼ全員が一般講習を受けることになります。
講習は、運行管理者に選任届出された日が属する年度内に受けなければなりません。
運行管理者に選任されて継続的に仕事をしているとき
こちらは一番身近に感じる講習ではないでしょうか。
運行管理者として仕事をしている場合、2年ごとに1回受講しなければならない決まりになります。
注意点としては、講習を受けるように促す通知などは一切ありませんので、受講する予定を自ら立てていかなければなりません。
会社側でいつ受けなければならないのかをしっかり管理しておくと良いでしょう。
また、2年毎といっても区切りは年度(4/1~3/31)になりますので、極端にいえば平成30年4月1日に講習を受けた場合、次の講習受講期限は平成33年3月31日になります。
講習は丸一日、5時間かけて行われます。
ちなみに講習中は居眠りをする受講者が非常に多くみられていましたが、国交省から注意を受けて、最近では居眠りをしている受講生がいるとすぐにスタッフから注意されます。
未受講の場合は?
運行管理者が受けなければならない講習は法定で義務付けられていますので、未受講が発覚した場合は行政処分があります。
違反内容 | 初回 | 再違反 |
特別講習受講義務違反 | 20日車 | 40日車 |
(一般)講習受講義務違反 | 10日車 | 20日車 |
特別講習は受講を促す通知が届きますので、受講漏れの可能性は低くなりますが、一般講習については普段ひんぱんに運行管理者手帳を見るなんてこともありませんので、受講の予定を管理しておかないと忘れがちです。
ですのであらかじめ予定表を作成しておくと良いでしょう。
運行管理者の講習まとめ
運行管理者が受講しなければならない講習や、受講時期としては、次のようになります。
受講のきっかけ | 講習種類 | 受講時期 |
重大事故または行政処分があったとき | 特別講習 | 運輸局からの通知の記載期限内 |
新たに運行管理者として選任されたとき | 一般講習 | 選任届出された日の属する年度内 |
運行管理者として継続して仕事をしているとき | 一般講習 | 一年度おきに一回(2年度毎) |
重大事故または行政処分があった営業所で特別講習に指名されなかった運行管理者 | 一般講習 | 2年度連続 |
運行管理者の講習の目的は、事故防止のために運行管理者の安全に対する知識や意識を向上させることにあります。
以前は講習中に寝ている受講者がいてもそんなにうるさくありませんでしたが、最近では国からの注意喚起があり、寝ている受講者がいればスタッフ等から注意されます。
重大事故が大々的に報道されるようになったため世の中の安全に対する意識も向上する一方ですよね。
ただ、通常は2年に1回、運行管理者は一般講習を受けますが、最新の安全知識を得られる場でもあります。
そこで得た知識を活かすことで自社の事故防止を務めていくべきでしょう。