運送会社には運行管理者の設置が定められていますが、選任要件の人数として、一定の車両数に応じて運行管理者の人数を増やしていかなければなりませんよね。
車両ごとの運行管理者の選任数は?
簡単に表で示しますと、
トラック
車両台数 | 運行管理者選任数 |
~29両 | 1名 |
30~59両 | 2名 |
60~89両 | 3名 |
以降、車両30両ごとに運行管理者選任数+1
乗合バス、タクシー
車両台数 | 運行管理者選任数 |
~39両 | 1名 |
40~79両 | 2名 |
80~119両 | 3名 |
以降、車両40両ごとに運行管理者選任数+1
貸切バス
車両台数 | 運行管理者選任数 |
~39両 | 2名 |
40~59両 | 3名 |
60~79両 | 4名 |
以降、車両20両ごとに運行管理者選任数+1
上記のように台数ごとの運行管理者選任数が決まっています。
実際には運行管理者を複数選任しておかないと、点呼等の業務で無理が生じてくるため余裕をもって規定以上の人数が必要になってきます。
そして、運行管理者が複数選任されている営業所においては統括運行管理者を定めなければならない規定が存在します。
貨物自動車運送事業輸送安全規則
第18条 運行管理者等の選任
第2項 一の営業所において複数の運行管理者を選任する一般貨物自動車運送事業者等は、それらの業務を統括する運行管理者(以下「統括運行管理者」という。)を選任しなければならない。
旅客自動車運送事業運輸規則
第47条の9(運行管理者等の選任)
第2項 一の営業所において複数の運行管理者を選任する旅客自動車運送事業者は、それらの業務を統括する運行管理者(以下「統括運行管理者」という。)を選任しなければならない。
このように貨物、旅客とも統括運行管理者を選任しなければならない旨の条文が存在しますが、内容はほぼまったく同じです。
統括運行管理者の業務は?
基本的には運行管理者の通常業務と同じですが、それに加えてその他の運行管理者を全般的に統括する指揮監督が加わります。
つまり、運行管理者のまとめ役となる運行管理者です。
ほかの運行管理者に対して指導をすることになりますから、自然と実務経験の長い運行管理者が選任されることがほとんどですよね。
また、運行管理者を統括する運行管理者ですから、必然的に責任も重くなり、行政処分等によって運行管理者証の返納を求められた場合には、処分内容にもよりますが統括運行管理者が真っ先に返納命令が出されることになりますので管理業務はしっかり行いたいところです。
統括運行管理者の選任
統括運行管理者を選任した場合は、管轄の運輸支局へ届出が必要になります。
また、統括運行管理者を選任した場合は、その統括運行管理者の氏名を社内に掲示し全員への周知を徹底しなければなりません。
運行管理の組織図
運行管理の組織図としては
社長や役員-営業所長-統括運行管理者-運行管理者-補助者
といった例が運行管理規程に定められていますが、大半の中小規模事業者では社長や役員が自ら統括運行管理者となっているケースが多いです。
運送会社では運行管理者や整備管理者が退職するとそのたびに届を出しに行ったり代わりを探したりと面倒ごとも多く、業務における実質的な指揮監督も社長等が行うことが多いので、中小規模事業者においては社長や役員を選任しておいたほうがリスクという面では有効でしょう。
統括運行管理者まとめ
車両台数によって運行管理者を複数配置しなければならない場合、複数の運行管理者を指揮統括するために統括運行管理者を配置し、運輸支局に選任届を出さなければなりません。
経営者等を統括運行管理者に選任する場合は、経営の仕事との兼ね合いもありますが指揮を執って連携しながら安全に努めていかなければなりませんよね。また、複数の運行管理者を営業所に配置したときは忘れずに届出と周知を行いましょう。