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運輸安全マネジメントの様式作成の例

運輸に係る全事業者に義務付けられている運輸安全マネジメントの公表ですが、実際どんな内容をどんな順番で書面やホームページに落とし込むのか?というのは最初はよく分かりませんが、基本的に運輸安全マネジメントはPDCAサイクルによる運用がなされており、その順番で記載していくのが自然です。

もちろん運輸安全マネジメントを自社で導入して実践を踏まえた結果を書面に落とし込むのが原則ですが、しっかりと運輸安全マネジメントを導入できている中小企業は多くはありません。

しかし、自社の運輸安全マネジメントを公表しなければなりませんので、書類は必ず作成しなければなりませんよね。

毎年度の作成が必要ですが、最初に雛形を作ってしまえばあとは細かい内容を変えていくだけですので、そんなに難しいことでもありません。


運輸安全マネジメント様式作成

ステップとしては、次の順番で作成していくと内容をしっかり押さえた文章が作成できます。

  1. 自社の安全方針と社内への周知方法
  2. 1で定めた安全方針に基づいて目標を定め、その目標達成のための計画立て
  3. 事業者と従業員間で情報交換を行い、安全上の問題点がないか
  4. 安全上問題があればどのような方法で改善を図っていくか
  5. 自社の安全に関する目標と達成状況

安全方針の決め方

自社独自の安全方針を定めましょう。

安全方針は一番の根幹となる部分ですから、トップが方針を定め、管理者等で話し合って決めていくのが良いと思います。

記載内容としては例えば

  • 輸送の安全確保で顧客満足度を図る
  • 安全運転はわが社の基本
  • 我が社は輸送の安全を図り社会的使命を担う

等、重要な方針を定めていきますが、ここでは具体的ではなく抽象的な表現になると思います。

社内への周知方法

上記の方針を決めたら、それをどのように社内で周知していくかを定めます。

例えば

  • 安全方針を社内に掲示し、朝礼で唱和。
  • 安全方針を配布し、各車両に常備。

といった、従業員に対してどのように安全方針を浸透させていくかを具体的に記載すると良いでしょう。

安全方針に基づいた目標設定

ここでは、具体的な数値を決めて目標を定めていきます。

例えば

  • 平成○○年度目標 人身事故0件、飲酒、酒気帯び運転0件
  • 平成○○年度目標 自動車事故報告規則2条に規定する事故・・・0件

その他、違反件数や物損事故数の目標を定めても良いと思います。

ここの目標設定では、前年度の事故・違反件数を参考にしていくと現実的に達成できそうな数字が出てきます。従って事故記録や運転記録証明書の取得などを行って管理しておくと、数字を定めやすいですよね。

目標を達成するための計画

前記で設定した目標を達成するための計画を記載していきます。

例えば

  • 乗務前点呼時にKYTを実施する
  • 毎年度1回以上、運転者・管理者ともに安全運転講習会を受講する
  • デジタルタコグラフ、ドライブレコーダーを随時車両に導入する

設定した目標達成のための事故や違反を防止するための施策計画ですから、既に自社で取り組んでいる内容を引き続いて計画として記載していくのも良いかと思いますが、何か新しく施策を考えている場合も記載しておくと良いでしょう。

事業者と従業員の情報交換の方法

事故防止のために事業者と従業員の間で行う情報交換の方法を定めます。

  • 毎月1回開催するドライブミーティング時、安全に関する意見交換会を盛り込む
  • 定期的に社長・役員・管理者・運転者の4者による報告会を開催する

やはり現場での輸送上の危険を肌で感じている運転者による意見は一番の参考になりますので、その意見を聞く場を設けることが必要ですよね。

ここではどうやってその意見を吸い上げるかの方法を記載していきます。


自社の安全に関する取組の反省点

輸送の安全に関する取組の結果、どのような反省点が見つかったかを記載してきます。

  • 乗務前KYTを実施していたが、乗務員の安全意識が向上しなかった
  • 安全講習会への受講を計画していたが、全運転者が受講することができなかった

机上で取組を定めても、現実はなかなかその通りにいくとは限りませんよね。

実際に取り組んでみると、そうした問題点があぶり出されていきますので、その改善を方策することができます。

問題点をどのように改善していくか

前記であぶり出された問題点をどうやって改善していくかを記載していきます。

  • 乗務前KYTの他、乗務後のヒヤリハットを報告、情報を収集する
  • 業務上安全講習会を受講できなかった運転者に対し、後日フォローアップを行う。

すでに問題点はあぶり出されていますので、その問題点に対する改善方法を考えて記載するだけなので、ここは比較的決めやすい部分だと思います。

安全に関する目標達成状況

自社の輸送の安全に関する前年度の目標の達成状況を、具体的な数値で記載していきましょう。

平成○○年度

  • 人身事故・・・0件
  • 物損事故・・・3件
  • 飲酒・酒気帯び運転・・・0件
  • 速度超過違反・・・0件
  • 駐車違反・・・2件
  • 自動車事故報告規則2条に規定する事故・・・0件

書面に落とし込み周知することによって、事業者や従業員全員に安全に対する共通の意識を持たせることが目的となるのではないでしょうか。

また、交通事故によって生じた損失金額等を記載することによって、自社の利益意識等を強めることもできると思います。

作成例

上記までの内容で様式を簡単にまとめると、次のような形になります。

わが社の運輸安全マネジメント取り組み状況

取組期間 平成○○年4月1日~平成○○年3月31日

○わが社の安全方針

・輸送の安全確保で顧客満足度を図る

・安全運転はわが社の基本

・わが社は輸送の安全を図り社会的使命を担う

○社内への周知方法

・安全方針を社内へ掲示し、朝礼時に唱和する

・安全方針を全従業員に配布し、車両内へ常備する

○平成○○年度、安全方針に基づいたわが社の目標
・平成○○年度 人身事故・・・0件
・平成○○年度 物損事故・・・3件
・平成○○年度 飲酒・酒気帯び運転・・・0件

○わが社の目標達成のための計画
・乗務前点呼時にKYTを実施する
・毎年度1回以上、安全運転講習会を受講する
・各車両に随時デジタルタコグラフやドライブレコーダーを導入する

○わが社の輸送の安全に関する情報交換方法
・毎月1回のドライブミーティング開催時に、社長、従業員等による意見交換会を実施する

○わが社の輸送の安全に関する取組に対する問題点

・乗務前点呼時にKYTを実施したが、運転者の安全意識向上が図れなかった

・全従業員に安全講習会を受講させることができなかった

○問題点に対する改善方法

・乗務前点呼時のKYTに加え、帰社時にヒヤリハットの報告を促し、情報の共有を図る

・安全講習会を受講できなかった従業員に対し、後日フォローアップを行う

○わが社の輸送の安全に関する前年度の目標達成状況

・人身事故・・・0件(目標0件)

・物損事故・・・5件(目標3件)

・飲酒・酒気帯び運転・・・0件(目標0件)

・自動車事故報告規則2条に規定する事故・・・0件(目標0件)

※物損事故の目標は未達だった。

平成○○年4月1日

株式会社 ○○運輸
代表取締役 ○○ ○○ ㊞

かなりざっくばらんにまとめましたが、取り組みを行う期間や会社名、代表者名も必ず記載しておきましょう。

公表の方法は?

作成するだけでなく、輸送の安全にかかわる情報は公表することも義務付けられているため、主に①書面で印刷し、事業所内に掲示する ②ホームページがあればホームページ上で公開する といった方法がほとんどだと思います。

また、Gマーク申請時等においても、運輸安全マネジメントの取組を公表していることを証明する必要がありますので、必ず掲示等するようにしましょう。

まとめ

運輸安全マネジメントの目的はなんといっても事故防止でしょう。

中には形式上だけ行っている事業所も結構おおいですが、取り組みを決めたらそれを分かりやすいように書面等に落とし込むだけではなく、その内容にしたがって実施していくことが大事だと思います。

特に重大事故等が発生すると事業所の存続自体が危うくなることがありますので、しっかりと運輸安全マネジメントに力を入れて取り組みたいですよね。


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