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燃料サーチャージ制とは?

こんにちは。

最近軽油等の価格が右肩上がりの状態ですが、運送事業者にとっては大打撃ですよね。

燃料価格は自助努力ではどうにでもできないうえ、運送コストへの影響はとても大きいです。

そうなれば経営上のリスクも当然高まってきますので、そのリスクをどうやって軽減するかが問われるわけですが、燃料サーチャージ制の導入が経営リスク軽減対策として挙げられます。


燃料サーチャージ制とは?

 

燃料サーチャージは、燃料価格の上昇や下落によって生じるコスト分を、運賃とは別で設定する料金制度です。

元々は海運業界が1970年代に導入したもので、その後航空業界や陸運業界にも広がりました。

燃料サーチャージ制の導入は国土交通省やトラック協会の働きかけもあり、徐々に導入企業も増えてきました。

燃料サーチャージ制導入の進め方は?

 

まず最初に、原価計算や、燃料が高騰した場合の影響額等の現状を分析・把握することから始めます。

そのうえで、燃料サーチャージ制導入について取引先と交渉が必要になりますが、一番ハードルが高い部分になると思います。

以前トラック協会が行ったアンケート調査によると、荷主企業との交渉に対する問題点として次のようなものが挙げられました。

  • 導入していない事業者に荷主企業を奪われる(52.2%)
  • 価格変動が激しく、再・再々値上げが必要(36.0%)
  • 導入すると、運賃の値上げがしづらくなる(29.6%)
  • 算出上の軽油基準価格の荷主企業への理解(26.4%)
  • 価格が沈静化したら燃料サーチャージがなくなる(22.7%)
  • 荷主企業が燃料サーチャージの仕組みを知らない(19.2%)
  • 荷主企業との契約手続きが煩雑である(17.2%)
  • 復路に係る燃料サーチャージの設定(15.5%)
  • 燃料サーチャージ導入のシステム変更や構築コスト(10.8%)
  • 運賃の届出作業が煩雑である(8.9%)
  • 荷主企業に燃料サーチャージの仕組みを説明できない(6.4%)
  • 考えていない・わからない(1.5%)
  • その他(5.2%)
  • 無回答(15.3%)

やはり一番の懸念としては、燃料サーチャージ制を導入していない企業に仕事を奪われるというものが半数以上を占めています。

中には行政処分の恐れがあるような原価割れで仕事を引き受けているような事業者も存在していますので、燃料サーチャージ制導入に対して足踏みしたい気持ちが湧いてしまいますよね。

荷主企業との強固な関係が出来ていれば良いですが、中小企業等では交渉時も弱い立場になりやすいため、少しずつ自助努力や取引先との関係を築いていく必要があると思います。

また、燃料サーチャージの導入や運賃の値上げの設定は、全ての契約に一律に行うのではなく、取引先や契約内容によって柔軟に設定する等の転嫁方法も必要です。

 

燃料サーチャージを導入して成功するためのポイントは?

 

①省燃費活動

荷主企業は常にエコドライブ等の省燃費に対する努力を評価しますので、燃費性能に優れた車両を導入したり、ドライバーへのエコドライブ教育指導等を行います。また、東京都を離発着地とする事業者の燃費を評価する貨物輸送評価制度等の認証を得るなど、燃費削減をアピールすることがポイントになります。

 

②原価管理

車両の走行距離や燃料消費量などのデータを基に原価を計算し、軽油単価の値上がり額が分かれば原価管理もそれほど難しくありません。

 

③荷主企業とのコミュニケーション

やはり自社の状況を荷主企業等に理解してもらえる関係を作ることで、導入に近づく大きな要素になると思います。

以前、たまたま事業者の集まりがあって喫煙所で談話していたところ、荷主企業の担当者にさりげなく自社の状況を伝えたうえで燃料サーチャージ導入を検討しているアピールをしていた気さくな社長さんがいました。

普段から関係を強化していくとともに、少しずつコツコツとアピールをして準備を進めていくうえでもコミュニケーションは重要ですね。

 

④差別化を図る

荷主から、同じ仕事を頼むなら安いほうが良いと思われないための工夫として差別化を図ることも重要です。例えばGマークやグリーン経営認証などの各種認証、資格などを積極的に取得したり、サービスの工夫などにより荷主企業へ安心感を与える等、多少の努力が必要になりますが、差別化を図ることに熱心な事業者は経営も長く続いている印象があります。

 

他にも、荷主企業と直接関わりのない下請事業者であっても原価計算などをしっかり行って、元請事業者に示すことにより、元請事業者が荷主企業へ交渉する材料にも使えます。

燃料サーチャージ制は運送にかかってくるコストの増分を転嫁するものですので、元請と下請が協力体制を築くことも大切だと思います。

 

燃料サーチャージ制導入後は?

 

燃料サーチャージは新しく設定する別建の料金制度となるため、設定後30日以内に所轄の地方運輸支局へ届け出なければなりません。

貨物自動車運送事業報告規則

 

第2条の2(運賃および料金の届出)

 

一般貨物自動車運送事業者、特定貨物自動車運送事業者および貨物軽自動車運送事業者は、運賃および料金を定めまたは変更したときは、運賃および料金の設定または変更後30日以内に、次の各号に掲げる事項を記載した運賃料金設定(変更)届出書を、一般貨物自動車運送事業および特定貨物自動車運送事業者に係るものにあっては所轄地方運輸局長に、貨物軽自動車運送事業に係るものにあってはその主たる事務所の所在地を管轄する運輸管理部長または運輸支局長に、それぞれ提出しなければならない。

 

1.氏名または名称および住所ならびに法人にあっては、その代表者の氏名

2.事業の種別

3.設定し、または変更しようとする運賃および料金を適用する運行系統または地域

4.設定し、または変更しようとする運賃および料金の種類、額および適用方法

5.実施日

運賃料金設定届出書は事後報告になりますので、忘れずに届出をしておきましょう。

 

まとめ

 

燃料価格は上昇傾向にあって経営に打撃を与えますが、近年は仕事量の増加やドライバー不足等によって運送事業者側の立場も強くなりつつあります。

大手運送会社では早期に燃料サーチャージ制を導入しているところが多いですが、中小企業においてはまだまだ導入しているところは少なく感じます。

サーチャージ額の算出は、距離制運賃や時間制運賃等の計算方法、車種別の平均燃費を考慮する等各社中身がまちまちですが、前提として原価管理をまずしっかり行うことからだと思います。

今後もドライバー不足や重大事故発生に伴う法改正等で、運送事業の経営リスクは高まってくる可能性もありますので、先手先手で動いていくことがリスク回避の上でも重要だと思います。


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