こんにちは。
運送事業を行うにあたって、整備管理者を配置することが義務付けられています。
道路運送車両法
50条(整備管理者) 自動車の使用者は、自動車の点検および整備ならびに自動車車庫の管理に関する事項を処理させるため、自動車の点検および整備に関し特に専門知識を必要とすると認められる車両総重量8トン以上の自動車その他の国土交通省令で定める自動車であって国土交通省令で定める台数以上のものの使用の本拠ごとに、自動車の点検および整備に関する実務の経験その他について国土交通省令で定める一定の要件を備える者のうちから、整備管理者を選任しなければならない。
整備管理者を選任するには?
次に当てはまる場合には必ず整備管理者を選任しなければなりません。
道路運送車両法施行規則
第31条の3(整備管理者の選任) 法第50条第1項の国土交通省令で定める自動車は、次の各号に掲げるものとし、同項の国土交通省令で定める台数は、当該各号に定める台数とする。
1.乗車定員11人以上の自動車 1両
2.乗車定員11人以上29人以下の自家用自動車 2両
3.乗車定員10人以下で、車両総重量8トン以上の自家用自動車および乗車定員10人以下の自動車運送事業の用に供する自動車 5両
4.貨物軽自動車運送事業の用に供する自動車および乗車定員10人以下で車両総重量8トン未満の自家用自動車であって、第2号の許可に係るもの 10両
一般的な貨物事業者であれば、5両以上配置する営業所ごとに整備管理者を選任しなければなりません。また、整備管理者を選任したとき、または変更したときは15日以内に管轄の運輸支局へ届出をしなければなりません。
整備管理者を選任するための資格は?
道路運送車両法施行規則
第31条の4(整備管理者の資格) 法第50条第1項の自動車の点検および整備に関する実務経験その他について国土交通省令で定める一定の要件は、次ぎの各号のいずれかに該当し、かつ、法第53条に規定する命令により解任され、解任の日から2年を経過しない者でないこととする。
1.整備の管理を行おうとする自動車と同種類の自動車の点検もしくは整備または整備の管理に関して2年以上の実務の経験を有し、地方運輸局長が行う研修を修了した者であること。
2.自動車整備士技能検定規則の規定による1級、2級または3級の自動車整備士技能検定に合格した者であること。
3.前2号に掲げる技能と同等の技能として国土交通大臣が告示で定める基準以上の技能を有すること。
要するに、整備管理者に選任するには2年以上の実務経験があって選任前研修を修了したものか、自動車整備士の資格を持った者でなければなりません。
平成15年4月までは実務経験の場合5年が要件となっていたため、若干緩和されてきました。
また、選任前研修は定期的に行われていますがアクセスの良い会場で行われる場合、定員が埋まるのが早いため、早めに予約を取りましょう。
整備管理者の権限は?
整備管理者が権限を持って行えるものは次のようになります。
道路運送車両法施行規則
第32条(整備管理者の権限等) 法第50条第2項の規定により整備管理者に与えなければならない権限は、次のとおりとする。
1.法第47条の2第1項および第2項に規定する日常点検の実施方法を定めること。
2.前号の点検の結果に基づき、運行の可否を決定すること。
3.法第48条第1項に規定する定期点検を実施すること。
4.第1号および前号の点検のほか、随時必要な点検を実施すること。
5.第1号、第3号または前号の点検の結果必要な整備を実施すること。
6.第3号の点検および前号の整備の実施計画を定めること。
7.法第49条第1項の点検整備記録簿その他の点検および整備に関する記録簿を管理すること。
8.自動車車庫を管理すること。
9.前各号に掲げる事項を処理するため、運転者、整備員その他の者を指導し、または監督すること。
尚、7番に規定されている点検記録簿の保存期間は1年間です。
整備管理者の補助者制度とは?
運行管理者と同じく、整備管理者についても補助者を配置することが認められています。
この場合でもあらかじめ補助者の選任が必要で、運行可否の決定等の整備管理者権限の仕事をすることができます。
補助者選任の条件は次のようになります。
①補助者は、整備管理者の資格要件を満たす者、または整備管理者が研修等を実施して十分な教育を行った者から選任すること。
②補助者の氏名等および補助する業務範囲が明確であること。
③整備管理者が、補助者に対して次の表に基づいて研修等の教育を行うこと。
教育をするとき | 教育内容 |
補助者を選任するとき | ・整備管理規程の内容 ・整備管理者選任前研修の内容(整備管理者の資格要件を満たす者を除く) |
整備管理者が整備管理者選任後研修を受講したとき | 整備管理者選任後研修の内容(他営業所等で整備管理者として選任されている者を除く) |
整備管理規程を改正したとき | 改正後の整備管理規程の内容 |
行政から情報の提供をうけたとき等 | 行政から提供された情報等必要な内容 |
④整備管理者が業務執行に必要な情報を補助者にあらかじめ伝達すること。
⑤整備管理者が業務執行結果について補助者から報告を受け、必要があればその結果を記録・保存すること。
整備管理者を外部委託できる場合とは?
整備管理者は基本的に外部委託は認められていません。
しかし、次の条件であれば例外的に認められるケースがあります。
①委託者、受託者がともにグループ企業内である場合
②グループ企業が一体となって輸送安全確保に取り組む体制を確保するために安全管理規程や整備管理規程等をグループ企業共同で作成しており、親会社子会社の区別なく判断基準を統一するために親会社が子会社に対して指揮命令、教育等を行う旨が明記され、整備管理者が委託者に対して意見等を行うことを目的とした3か月に1回以上会議等を開催する旨が明記されていること。
③整備管理の適切な実施を担保するため、外部委託することについて委託者、受託者双方の事業主または事業場の責任者が同意、承認していること。
④当該事業者が過去2年間で上記の条件に違反し、整備管理者選任義務違反とされた者でないこと。
まとめ
運送業はドライバーである人と、荷物を運ぶ車両の2つが要です。
事業を運営している限りは運行管理者と同じく最初から最後まで整備管理者の役割も大きく、車両不具合による大事故も度々起きていることから、運行管理者とは違って整備管理者はドライバーと兼任が可能ではあるものの手を抜けない業務ですよね。