こんにちは。
運送事業を適正に運営するにあたって、運行管理者の業務は非常に重要かつ多岐にわたります。
運行管理者の仕事とは?
運行管理者の義務
貨物自動車運送事業法においては、運行管理者の義務として以下のような条文があります。
貨物自動車運送事業法
第22条 運行管理者は、誠実にその業務を行わなければならない。
2.一般貨物自動車運送事業者は、運行管理者に対し、第18条第2項の国土交通省令で定める義務を行うため必要な権限を与えなければならない。
3.一般貨物自動車運送事業者は、運行管理者がその業務として行う助言を尊重しなければならず、事業用自動車の運転者その他の従業員は、運行管理者がその業務として行う指導に従わなければならない。
要するに、運行管理者は業務を誠実に行い、事業者に対しては業務に関する助言をし、ドライバーに対しては指導を行う権限があります。
また、ドライバーとして運転する際は、自分で自分の指導や点呼はできませんから、他の運行管理者や補助者により点呼等を受けなければなりません。
運行管理者の業務内容
貨物自動車運送事業輸送安全規則では、運行管理者の業務として次のように定められています。
貨物自動車運送事業輸送安全規則
第20条(運行管理者の業務)
1.一般貨物自動車運送事業者等により運転者として選任された者以外の者に事業用自動車を運転させないこと。
2.第3条第3項の規定により、乗務員が休憩または睡眠のために利用することができる施設を適切に管理すること。
3.第3条4項の規定により定められた勤務時間および乗務時間の範囲内において乗務割を作成し、これに従い運転者を事業用自動車に乗務させること。
4.第3条第5項の規定により、同項の乗務員を事業用自動車に乗務させないこと。
4の2.第3条第6項の規定により、乗務員の健康状態の把握に努め、同項の乗務員を事業用自動車に乗務させないこと。
5.第3条第7項の規定により、交替するための運転手を配置すること。
6.第4条の規定により、従業員に対する指導および監督を行うこと。
7.第5条の規定による貨物の積載方法について、従業員に対する指導および監督を行うこと。
8.第7条の規定により、運転者に対して点呼を行い、報告を求め、確認を行い、および支持を与え、ならびに記録し、およびその記録を保存し、ならびにアルコール検知器を常時有効に保存すること。
9.第8条の規定により、運転者に対して記録させ、およびその記録を保存すること。
10.第9条に掲げる運行記録計を管理し、およびその記録を保存すること。
11.第9条に掲げる事業用自動車で同条に規定する運行記録計により記録することのできないものを運行の用に供させないこと。
12.第9条の2の規定により、同条各号に掲げる事項を記録し、およびその記録を保存すること。
12の2.第9条の3の規定により、運行指示書を作成し、およびその写しに変更の内容を記載し、運転者に対し適切な指示を行い、運行指示書を事業用自動車の運転者に携行させ、および変更の内容を記載させ、ならびに運行指示書およびその写しの保存をすること。
13.第9条の5の規定により、運転者台帳を作成し、営業所に備え置くこと。
14.第10条(第4項を除く)の規定により、乗務員に対する指導、監督および特別な指導を行うとともに、同条第1項による記録および保存を行うこと。
14の2.第10条第2項の規定により、運転者に適性診断を受けさせること。
15.第11条に規定する場合にあっては、同条の規定に対する指導および監督を行うこと。
16.第18条第3項の規定により選任された補助者に対する指導および監督を行うこと。
17.自動車事故報告規則第5条の規定により定められた事故防止対策に基づき、事業用自動車の運行の安全の確保について、従業員に対する指導および監督を行うこと。
パッと見るとやたら多し、よく分かりませんよね。
平たく述べていきます。
- 会社の営業車に第3者とドライバー以外は乗せないこと
- ドライバーの休憩・仮眠施設を管理すること
- 配車を組むこと
- 過労状態のドライバーを乗せないこと
- ドライバーの健康状態を確認し、だめな場合は乗せないこと
- 長距離運転・あらかじめ継続した安全運転ができないときは代わりのドライバーを配置すること
- ドライバーに過積載をさせないようにすること
- 貨物の積載の仕方を指導監督すること
- アルコール検知器を用いて点呼をとること
- ドライバーに記録してもらった乗務記録を保存すること
- 運行管理計を管理して記録を保存すること
- 事故記録を作成して保存すること
- ドライバーに渡す運行指示書を作成して写しを保存すること
- 運転者台帳を作成・管理すること
- ドライバーへの指導教育を作成して保存すること
- ドライバーに適性診断を受けさせること
- 悪天候等で運行に支障があるときは必要な指示をすること
- 補助者がいる場合は必要な指導・監督をすること
- 事故報告書や速報が必要な事故が起きた場合に周知して事故防止対策を指導すること
結構な量ですが、どれも重要度が高いですよね。
ドライバー数が多ければ当然一人でこなすのは不可能ですから、なるべく複数の運行管理者を配置しておくとスムーズです。
基本的に配車、点呼、指示書作成等が主になっている事業所が多いと思いますが、手の空いたときに帳票類の整備等を行い、指導教育は開催日時を決めて行うといった流れで出来ますが、一番のネックはやはり事故が発生したときだと思います。
本来やらなくてもいい業務が突発的にやってくると、普段の流れが崩されますから、あらかじめ事故防止策をしておくことはとても重要ですよね。
また、事故はその後の処理が何年も長引いたりするケースもありますから気をつけたいところです。