こんにちは。
運送業においては、ドライバーは基本的に会社の目の届かない時間帯の多い特殊な職種です。
したがって個々のドライバーが自分で判断・行動しなければならない場面も多くあります。
法律上ではドライバーが遵守すべき義務として、貨物自動車運送事業輸送安全規則で次のように定められています。
貨物自動車運送事業輸送安全規則
第16条(乗務員) 貨物自動車運送事業者の乗務員は、事業用自動車の乗務について、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
1.酒気を帯びて乗務しないこと。
2.過積載をした事業用自動車に乗務しないこと。
3.事業用自動車に貨物を積載するときは、第5条(偏荷重を生じないようにすることや、荷物落下防止措置)に定めるところにより積載すること。
4.事業用自動車の故障等により踏切内で運行不能となったときは、速やかに列車に対し適切な防護措置をとること。
第17条(運転者) 貨物自動車運送事業者の運転者は、前条に定めるもののほか、事業用自動車の乗務について、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
1.酒気を帯びた状態にあるときは、その旨を貨物自動車運送事業者に申し出ること。
1の2.疾病、疲労その他の理由により安全な運転をすることができないおそれがあるときは、その旨を貨物自動車運送事業者に申し出ること。
2.道路運送車両法第47条の2第1項および第2項の規定による点検(1日1回の日常点検)を実施し、またはその確認をすること。
3.乗務を開始しようとするとき、第7条第3項(対面点呼)に規定する乗務の途中および乗務を終了したときは、第7条第1項から第3項までの規定により貨物自動車運送事業者が行う点呼を受け、貨物自動車運送事業者にこれらの規定による報告をすること。
4.乗務を終了して他の運転者と交替するときは、交替する運転者に対し、当該乗務に係る事業用自動車、道路及び運行の状況について通告すること。
5.他の運転者と交替して常務を開始しようとするときは、当該他の運転者から前号の規定による通告を受け、当該事業用自動車の制動装置、走行装置その他の重要な装置の機能について点検をすること。
6.第8条第1項の規定による記録(運行記録計の記録に付記する場合を含む)をすること。
7.第9条の3第1項の規定により一般貨物自動車運送事業者等が作成する運行指示書を乗務中携行し、同条第2項の規定により運行指示書の記載事項に変更が生じた場合に携行している運行指示書に当該変更の内容を記載すること。
8.踏切を通過するときは、変速装置を操作しないこと。
17条の1~3までは点呼前、点呼時に行う義務ですが、1の酒気帯びについてはアルコールチェックを他社が肩代わりする事例が度々取り上げられますね。
中小企業などにおいては人手不足の影響に加えて代替えの運転手がなかなか確保できなかったりと厳しい現実もあります。
酒気帯び状態で事故を起こせば、かなり重大な事案になってしまいますので、ドライバーとして普段からの節制が求められます。
また、これら以外の義務として、貨物自動車運送事業法においても定められています。
貨物自動車運送事業法
第22条の3 一般貨物自動車運送事業者は、運行管理者がその業務として行う助言を尊重しなければならず、事業用自動車の運転者その他の従業員は、運行管理者がその業務として行う指導に従わなければならない。
まとめると、法定されている義務としては
- 酒気帯び運転をしない
- 疾病疲労酒気帯びその他運転できない場合は会社へ申告すること
- 過積載車両には乗務しない。荷物の脱落防止策を行う
- 車両の日常点検を行うこと
- 乗務前・乗務後の点呼を受けること
- 運転を交替する際は車両の状態や道路状況を確認し合うこと
- 運転記録を残すこと
- 運行指示書を携行し、変更があればその都度内容を記載すること
- 踏切内での通過方法、踏切内での故障の際は適切な対応をすること
- 運行管理者の指導に従うこと
等がありますが、法定義務以外にも場面場面で自主的な対応が求められるケースも多いですので、普段から状況に応じて適切な対応が取れるよう意識していくことが大事だと思います。
事例として、交差点で信号待ちをしていたドライバーが、目の前で別車両が人身事故を起こした際に、二次災害を防ぐためにすぐさまカラーコーンを設置して交通誘導をしながら警察・救急に連絡した方がいらっしゃいましたが、とても素晴らしい対応だと思います。
あらゆる仕事にもいえますが、モラルの高さというのも高度なスキルの一つではないでしょうか。